世界の誰もが知るテクノロジー企業であるMicrosoftについて、実際の働きやすさやその福利厚生が本当に充実しているのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
企業選びはどうしても年収の高さだけが注目されがちですが、長期的に安心して働くためには、生活を支える制度や働きやすさが不可欠です。本記事では、Microsoftの企業概要から具体的な福利厚生の内容、社員のリアルな口コミ、他のGAFAM(※)との比較、さらに向いている人・向いていない人、平均年収の水準まで詳しく解説します。
なお、今回の記事ではMicrosoft 日本法人(正式名称:日本マイクロソフト)に焦点を当て解説していきます。表現の統一のため、便宜上以降もMicrosoftで記述統一をいたします。
※「GAFAM」とは、Google、Apple、Facebook(現在のMeta)、Amazon、Microsoftの5社をまとめた呼び方です。いずれも世界的に影響力を持つテクノロジー企業であり、給与や福利厚生の水準が高いことで知られています。
Microsoftとはどのような会社か

Microsoftは1975年に設立され、「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションを掲げています。PC向けOS「Windows」で一時代を築いた後、近年はクラウドプラットフォーム「Azure」を成長の柱に据え、世界中の企業のDXを牽引する存在となっています。
提供する製品やサービスは幅広く、「Microsoft 365(旧Office)」といったビジネス基盤から、家庭用ゲーム機「Xbox」、革新的なデバイス「Surface」まで多岐にわたります。
Microsoftの福利厚生

※2025年8月時点の調査情報です
Microsoftの福利厚生は「家族へのサポート」「経済的保障と成長支援」「健康と働きやすさ」「オフィス環境」という4つの柱で構成されています。

家族へのサポート
出産休業は20週間と長期にわたり、さらに新しい子どもとの絆を深めるための育児休業も6週間取得可能です。重篤な健康状態にある家族をケアするための看護休暇は年間20日まで認められ、家庭の事情にしっかり寄り添える環境が整っています。また「Mavenプログラム」では、不妊治療から妊娠・出産・育児、更年期まで幅広くカバーし、性別に関わらず家族の健康を包括的に支援しています。保育園探しや介護施設選びを専門家が手伝うコンシェルジュ制度もあり、安心して家庭と両立できます。
経済的保障とキャリア開発
会社から付与される「ベネフィットポイント」を使えば、旅行や育児用品、自己啓発など、自分や家族に合わせた使い方が可能です。資産形成では確定拠出年金や社員持株会に加え、医療・生命保険、障害時収入サポートまで備え、経済面での安心を支えています。さらにMicrosoft製品トレーニングや語学研修、リーダーシップ開発など、成長を後押しする研修制度も充実しています。
健康と働きやすさ
フレキシブルワークを標準化し、ライフスタイルに合わせた働き方を推進しています。社内には国家資格者によるマッサージを無料で受けられるルームがあり、心身のリフレッシュをサポートしてくれます。外部カウンセラーに匿名で相談できるEAP(従業員支援プログラム)も導入され、心の健康にも配慮が行き届いています。
オフィス環境
デジタルデトックスを目的としたリフレッシュルームが設けられ、社員の発想力を高める工夫が凝らされています。社員専用のカフェテリアもあり、食事や休憩にとどまらず、ミーティングや交流の場としても活用されています。
Microsoftと比較した、GAFAM各社の福利厚生

GAFAMはいずれも社員に魅力的な制度を提供していますが、それぞれのカルチャーや戦略が反映されており、「福利厚生の個性」がはっきり表れています。
Googleは無料の食事やフィットネス施設、社員同士のコーチング文化など「働く場の快適さ」を重視しています。一方Microsoftは、家族のケアや育児・介護制度の充実により「家庭とキャリアの両立」を重視している点が大きな違いです。両社とも手厚い支援を提供しますが、Googleが職場環境中心なのに対し、Microsoftはライフイベントへの対応に強みがあります。
Meta(旧Facebook)
Metaは朝昼晩の食事提供、フィットネスジム、無制限の病気休暇、4か月の有給育児休暇、そして出産祝い金4,000ドルといった「家族支援に直結する制度」が際立ちます。Microsoftも育児・介護制度は豊富ですが、Metaのように金銭的な支援を厚く打ち出すというより、専門家サポートや包括的プログラムで「安心感」を高めている点が異なります。
Apple
Appleは自社ブランド色の濃い福利厚生が特徴で、Apple製品の割引購入や専用クリニック「AC Wellness」、さらにカルチャー教育の「Apple University」が挙げられます。MicrosoftはAppleのように「ブランドへの誇り」を醸成する仕組みではなく、実用的かつ多角的に生活を支える福利厚生を提供している点で対照的です。
Amazon
Amazonは社員割引、医療費補助、RSU支給など、日々の生活や収入に即効性のあるサポートが充実しています。一方でMicrosoftは、ベネフィットポイントや研修制度、リーダーシップ開発など「長期的な成長やキャリア形成」を重視した制度設計が特徴です。言い換えれば、Amazonが「今この瞬間の暮らしや収入を支える」企業だとすれば、Microsoftは「将来にわたって家族・キャリア・健康を継続的に支える」点に強みがあります。
Microsoft社員の口コミ

※あくまで転職サイト上に投稿された口コミであり、事実を担保するものではございません。

① オフィス環境・福利厚生全般
- 「福利厚生・オフィス環境は非常に良かった。飲み物や果物が無料でもらえて、おやつを買う必要がない。」
- 「福利厚生はいいと思う。フリードリンクや文房具、カフェテリアなど一通りが揃っている。」
- 「福利厚生は非常に良かったと思います。看護休暇があるので助かりました。ただし残業などが多いので、お子さんをもつ女性にとっては働きにくいケースもあるかもしれません。」
② 制度の利用しやすさや環境の厳しさ
- 「全社的に仕事は非常に忙しいので、福利厚生制度があってもほとんど利用できない。オフィス環境は、日系と外資の中間くらいと思っておけば間違いない。」
- 「福利厚生はよくないが、初任給から平均と比べ高額であった点はありがたかった。その他、住宅手当等の福利厚生は一切ない。」
③ 総合評価としての福利厚生
- 「全体を通して満足度は高いですが、日本法人の場合そこまでプレゼンスは高くなく、自らの能力の評価によっては大満足とまではいかないケースもあります。」
- 「日系に比べるととても高く福利厚生も充実しています。雇用保証は無いですが満足です。」
向いている人・向いていない人

Microsoftは「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションを掲げています。その実現のため、社員には「成長マインドセット(Growth Mindset)」「ワン・マイクロソフト」「ダイバーシティ&インクルージョン」といった価値観への共感と実践が求められます。ここでは、Microsoftに向いている人・そうでない人の特徴を整理します。

向いている人の特徴
- 成長マインドセットを持つ人
Satya Nadellaは「私たちは知識を持つ人ではなく、学び続ける人(learn-it-all)であるべきだ」と繰り返し述べています。変化を前向きに捉え、失敗を学習機会に変えられる人はMicrosoftの文化にフィットします。 - 「One Microsoft」の精神で協働できる人
Microsoftは「部門の壁を越え、One Microsoftとしてお客様に価値を届ける」ことを強調しています。個人の成果だけでなく、チームや組織全体での成功を追求できる人が活躍できます。 - 多様性と包摂性を尊重する人
採用ページでも「私たちは多様な視点と経験を尊重し、すべての人が活躍できる環境をつくる」と明記されています。異なる背景を持つ仲間から学び、より良い成果につなげられる人が向いています。 - 社会への貢献意欲を持つ人
Microsoftのミッションは「すべての人と組織に力を与えること」です。テクノロジーを通じて社会や顧客の課題解決に取り組みたい人に最適です。 - 学びと成長をキャリアに取り込める人
豊富な研修制度やリーダーシップ開発プログラムを活かし、自らのキャリアを中長期的に設計できる人に向いています。

向いていない人の特徴
- 学び続ける姿勢がない人
「成長マインドセット」が前提となる環境で、現状維持に留まり挑戦を避ける人は評価されにくいでしょう。 - 個人主義が強く協働を避ける人
Microsoftは「One Microsoft」の精神を掲げています。チームや部門の垣根を越えて成果を出す姿勢が求められるため、協調を拒む人はカルチャーに馴染みにくいです。 - 多様な価値観を受け入れない人
Diversity & Inclusionを重視するMicrosoftにおいて、異なる文化や意見を尊重できない人はチームで信頼を築きにくいです。 - 短期的な報酬だけを重視する人
Amazonのように即効性ある実生活支援を重視する企業と異なり、Microsoftは「キャリア・家族・健康を長期的に支える制度」を整えています。目先の金銭的メリットだけを優先する人はミスマッチになりやすいです。 - 安定を過度に求める人
技術や市場の変化に柔軟に対応し、新しい挑戦を受け入れることが前提の環境です。変化を避ける人には厳しい環境となりがちです。
Microsoft社員の平均年収

転職サイトの情報によると、日本マイクロソフトの平均年収は約1,100万円~1,400万円ほどとされており、国税庁が公表する日本の平均年収458万円(2023年)を大きく上回る水準です。報酬は基本給・賞与・株式報酬(RSU)の3要素から成り立っており、成果に応じて高いリターンが期待できる仕組みとなっています。
まとめ

Microsoftは、家族支援からキャリア開発、健康管理、柔軟な働き方までを包括的にサポートする福利厚生を提供し、さらに業界でもトップクラスの報酬を備えた魅力的な企業です。ただしその一方で、常に学び、挑戦し続ける姿勢や、チームで成果を出す力が強く求められます。優秀な同僚と切磋琢磨しながら成長できる半面、大企業ならではの複雑さや成果主義のプレッシャーも存在します。
本記事で紹介した福利厚生や社員の声、年収水準を踏まえ、自身の価値観やキャリアプランに合致するかを見極めることが重要です。Microsoftで働くことは、待遇面の改善にとどまらず、自分の働き方や成長の在り方を見直す絶好の機会となるでしょう。