世界で最も影響力のあるテクノロジー企業の一つ、Apple。iPhoneやMacといった製品はもちろん、Apple MusicやiCloudといったサービスまで、私たちの生活に深く根付いています。そのブランド力や高い年収水準は、多くの人材を惹きつけていますが、。それ以外にもAppleは「社員が安心して働き続けられる環境づくり」にも力を注いでおり、福利厚生の内容にも他社にはない特徴が表れています。
本記事では、2025年時点での最新情報に基づき、Appleの福利厚生を制度の中身から社員のリアルな声まで徹底的に解説します。
なお、今回の記事ではApple 日本法人(正式名称:Apple Japan合同会社)に焦点を当て解説していきます。表現の統一のため、便宜上以降もAppleで記述統一をいたします。
Appleとはどのような会社?

Appleは1976年に設立され、世界で最も影響力を持つテクノロジー企業の一つとして発展してきました。ハードウェア・ソフトウェア・サービスを垂直統合したビジネスモデルを構築し、その独自性は他のIT企業にはない強みを生み出しています。
強みの核心は、機能性だけでなく「美しいデザイン」や「直感的なユーザー体験」への徹底したこだわりにあります。さらに「プライバシー保護」を企業の価値観として前面に打ち出すことで、ブランドへの信頼感を確立してきました。Apple Japan合同会社は、日本市場での販売・マーケティング・サポートを担い、グローバルブランドを国内で支えています。
Appleの豊富な福利厚生

※2025年8月時点の調査情報です

健康・メンタルケアのサポート
Appleでは社員の心身の健康を最優先に位置づけています。医療プランは社員本人と家族を対象に幅広い治療をカバーし、必要に応じて専門医による診察や相談を受けられる仕組みも整っています。
また、心のケアとして、対面やバーチャルでの無料カウンセリングが秘密厳守で提供され、メンタルヘルスに配慮した仕組みが整っています。Appleの主要オフィスには米国本社の主要オフィスにはフィットネスセンターが併設されており、日本法人を含む他地域では外部ジム利用補助が一般的です。社員が健康的な生活を維持しながら仕事に集中できるよう支援しています。
社員の声でも「医療費の補助やスポーツジム利用補助は非常に助かっている」といった評価が多く、単なる制度にとどまらず実際の生活に役立つ福利厚生となっていることが分かります。
ライフイベント・家族のサポート
Appleは社員のライフイベントを支えるため、育児・介護支援を充実させています。子どもを迎えたすべての親に対して有給の育児休暇を提供し、復帰に向けた段階的プログラムも用意されています。性別を問わず安心してキャリアを継続できる点は、働き方の多様化に対応した取り組みといえるでしょう。
また、重病の家族を看護する場合には有給の介護休暇が認められ、家庭の事情を優先できる環境が整っています。さらにEAP(従業員支援プログラム)を通じて、育児や介護、法律相談など幅広いサポートが受けられる場合があります。
経済的支援と報酬制度
Appleは「公正な報酬」を重視しており、性別や給与履歴に左右されない公平な給与体系を徹底されています。給与の水準は高めに設定されており、さらにRSU(制限付き株式ユニット)が報酬に組み込まれる点は大きな特徴です。これにより、社員は会社の成長を自らの資産として享受できます。
加えて、ESPP(従業員株式購入プラン)を通じて、社員は割引価格で自社株を購入可能です。長期的な資産形成の手段として利用されています。
もちろん、自社製品の社員割引も大きな魅力です。社員やその家族はiPhoneやMac、アクセサリを特別価格で購入でき、仕事と生活の両面でApple製品を活用することでブランドとの一体感が高まります。
継続的な学びと成長の支援
Apple独自の「Apple University」では、単なる業務研修にとどまらず、Appleの文化や価値観を深く理解するためのプログラムが展開されています。これにより社員は「Appleらしい思考法」を学び、自らの業務に還元することができます。
さらに、オンラインクラスや外部教育への補助も充実しており、ビジネススキルからソフトウェア開発まで幅広い分野で学習機会が提供されています。社員の声としても「スキルアップの環境が整っている」「自分の成長を会社が後押ししてくれる」といった評価が多く寄せられています。
Appleと比較した、GAFAM各社の福利厚生

総じて福利厚生が手厚いGAFAM(※)ですが、Appleの福利厚生は自社ブランドと社員の生活を強く結びつけることが際立っています。ここでは、GAFAMの福利厚生の一部を紹介しながらAppleと比較します。
※「GAFAM」とは、Google、Apple、Facebook(現在のMeta)、Amazon、Microsoftの5社をまとめた呼び方です。いずれも世界的に影響力を持つテクノロジー企業であり、給与や福利厚生の水準が高いことで知られています。
Googleは、社員がオフィス内ですべてを完結できるほどの環境づくりが特徴です。栄養バランスの取れた食事が朝昼晩無料で提供され、マッサージやフィットネス、さらに学びを深める社内コーチングプラットフォームまで揃っています。
一方Appleは、オフィス環境の快適さに加え、「製品を福利厚生の一部に組み込み、社員の生活に根付かせる」という点で独自性を発揮しています。Googleが「オフィス内完結型」なのに対し、Appleは「生活全体に自社ブランドを浸透させる」設計と言えるでしょう。
Amazon
Amazonは、給与+サインアップボーナス+RSUという「実利重視」の報酬体系が際立っています。さらに、医療費補助や出産育児給付金など、生活に直結する制度も整っています。
これに対してAppleは、RSUやESPPによる資産形成に加え、自社製品割引を組み合わせることで、社員がブランドと共に歩むスタイルを提供しています。経済的なサポートにブランド体験を融合させている点が大きな違いです。
Microsoft
Microsoftは「家庭支援」を最重視している点が特徴的です。性別を問わず最大20週間の育児休暇や、重篤な家族のケアのために年間20日間休める制度など、家族の事情に寄り添った設計が目立ちます。
Appleも家族支援は整っていますが、Microsoftのように「介護や家族ケアに特化した休暇制度」ほど厚くはありません。その代わり、Appleは社員自身の健康・成長・ブランド体験に軸を置いた福利厚生を展開しているのが大きな違いです。
Meta
Metaは、育児休暇4か月、出産祝い金4,000ドル、無制限の病気休暇など、直接的で分かりやすい制度が充実しています。家族や個人のライフイベントに即した支援が非常に手厚いのが特徴です。
Appleはそこまで直接的な金銭給付は目立ちませんが、Apple Universityや製品割引など、文化やブランドへの共感を強める制度を通じて社員を支援する点で大きく異なります。
Apple社員の口コミ


① 福利厚生・オフィス環境
「福利厚生は充実している、アクセスもしやすいし働きやすい環境です。」
「待遇、福利厚生はいいほうだと思う。また、オフィス環境はさすがにメーカーだけあって良い。」
② 女性の働きやすさ・ダイバーシティ
「性別に関わらず実力主義で働きやすい会社だとは思います。ただ、カスタマーサポートの場合シフト勤務もあるため、お子さんをお持ちの方は家族の協力がないと続けられないかもしれません。」
「各種福利厚生は充実しており、女性だから働きにくいと言った事はない。マネージャーにもエグゼクティブにも多くの女性が働いており大きな貢献を会社に挙げている。」
③ ワークライフバランス・働き方
「休みはすごく取りやすい。長期休暇も事前に申請しておけばほぼ通る。1ヶ月近い休暇も可能。」
「副業、兼業を推奨してくれる環境がある。自身が大事にしている趣味や副業に対して非常に協力的。」
「有給休暇は100%消化できる。しっかり使う方が多く、2週間から1ヶ月ほどの連続休暇も取りやすいです。」
④ 成長環境・制度の充実
「フィードバックは贈り物という文化があり、チームメンバーからさらなる成長につながるような意見をたくさんもらえていると感じる。」
「日本企業のような研修は少なく、基本的に成長の度合いは個人次第の側面が強い。」
Appleで働くのが向いている人・向いていない人

Appleは「人々の生活をより良くする製品を生み出す」ことを企業の存在意義とし、採用ページでも「驚きと感動を与えるイノベーションを生み出す仲間を求めている」と明言しています。そのため、社員には単なる技術や経験だけでなく、「細部へのこだわり」「顧客体験への情熱」「ブランド哲学への共感」が強く求められます。ここでは、そのカルチャーを踏まえた向き・不向きを整理します。

向いている人の特徴
- 製品と体験への強い情熱を持つ人
Appleは「人々をインスパイアする製品をつくる」という理念を掲げています。iPhoneやMacといった製品に共感し、自分自身もユーザー体験を磨きたいと考える人はAppleで活躍しやすいです。 - 細部まで徹底してこだわれる人
Appleの文化は「細部への妥協なきこだわり」で有名です。デザインや機能の1つひとつに徹底的に向き合い、高い完成度を追求できる人に向いています。 - 自己主導で学び成長し続けられる人
Apple Universityなど、Apple独自の学びの機会が整っています。それを活かして自律的にスキルを磨き、自分の成長を業務に還元できる人が評価されやすいです。 - 多様性を尊重できる人
Appleは「多様性と包括性(Diversity & Inclusion)」を強く打ち出しています。性別や国籍、バックグラウンドに関わらず互いを尊重し、チームとして成果を出せる人が向いています。 - ブランドへの誇りを持てる人
自社製品の社員割引やApple Universityを通じ、社員がブランドの哲学を体感できる仕組みがあります。Appleブランドを自分の価値観やライフスタイルの一部として誇りを持てる人に適しています。

向いていない人の特徴
- ブランドや製品に関心が薄い人
Appleは「製品への情熱」を前提とした文化が根付いています。Apple製品に共感を持てない人は、組織の一体感やモチベーションを得にくいでしょう。 - 完璧さやこだわりを負担に感じる人
細部まで徹底する姿勢はAppleの強みですが、それを「過剰」「非効率」と感じる人には向きません。スピードより精度を優先する環境にストレスを感じやすいでしょう。 - 与えられた指示に従うだけで働きたい人
Appleは「自ら考え、動き、学ぶ」ことを求める文化です。決められた枠の中だけで業務を進めたい人は適応が難しいです。 - 多様性を軽視する人
AppleはD&Iを採用・評価の重要な基準に据えています。他者の背景や考えを尊重できない人はカルチャーに馴染みにくいでしょう。 - ワークライフバランスを絶対条件にする人
製品リリースや大規模プロジェクト前は高い成果要求があります。完全に安定した働き方を最優先する人にとっては、Apple特有の「高い要求水準」が負担になり得ます。
Apple社員の平均年収は?

OpenWorkによると、Apple Japan合同会社の平均年収は約700万円となっており、これはGAFAM他社と比較すると控えめではありますが、日本の平均年収458万円を大きく上回る水準です。
まとめ

Appleの福利厚生は、Googleのような「オフィス完結型」やMetaのような「家族重視型」とは異なり、健康・成長・ブランド体験を軸にした設計が特徴です。社員の生活を支えると同時に、Apple製品や文化を福利厚生に取り入れることで「ブランドへの誇り」を育む仕組みが整っています。
ただし、その分「Apple製品への情熱」や「高い専門性・こだわり」が求められる環境であり、誰にでも合う職場ではありません。本記事を通じて、自身の価値観やキャリアプランと照らし合わせ、Appleという環境が本当に自分に合うのかを見極めてください。