Meta(旧Facebook)は、世界トップクラスのテクノロジー企業として、社員の生活を多角的に支える福利厚生を整備しています。無料の食事やフィットネスといった日常的なサポートに加え、有給育児休暇や出産祝い金、不妊治療や卵子凍結の補助など、家族支援制度は業界でも先進的です。さらに株式報酬(RSU)を中心とした報酬体系や、勤続年数に応じた長期休暇制度「Metaversary」など、短期的な働きやすさから長期的な資産形成までを包括的にカバーしています。
本記事では、2025年時点の最新情報に基づき、Metaの福利厚生の全貌を、他のGAFAM(※)との比較や社員のリアルな口コミとあわせて詳しく解説します。
なお、今回の記事ではMeta 日本法人に焦点を当て解説していきます。表現の統一のため、便宜上以降もMetaで記述統一をいたします。
※「GAFAM」とは、Google、Apple、Facebook(現在のMeta)、Amazon、Microsoftの5社をまとめた呼び方です。いずれも世界的に影響力を持つテクノロジー企業であり、給与や福利厚生の水準が高いことで知られています。
Metaとはどのような会社?

Metaは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「Facebook」や「Instagram」などを運営するアメリカの巨大IT企業です。
元々は「Facebook, Inc.」という社名で、実名登録制のSNSであるFacebookを世界中に普及させ、人々のコミュニケーションのあり方を大きく変えました。その後、写真・動画共有アプリの「Instagram」やメッセージングアプリ「WhatsApp」などを買収し、事業を拡大してきました。
そして、2021年には社名を「Meta Platforms, Inc.」に変更しました。これは、単なるSNSの会社から、インターネットの次なる形とされる仮想空間「メタバース」の構築を事業の中核に据えるという強い意志の表れです。
このように、MetaはFacebookやInstagramといった巨大なSNSを基盤としながら、その収益をメタバースやAIといった未来のテクノロジーへ投資し、次世代のプラットフォームを構築しようとしている企業です。
充実したMetaの福利厚生

Metaの福利厚生はGAFAMの中でも最高水準といえる充実度を誇ります。福利厚生に関わる制度は社員が最大限のパフォーマンスを発揮するための戦略的な投資と位置づけられており、健康・家族・経済・キャリア・ライフスタイルのすべてを支援する内容が整っています。
ここではその具体的な内容について解説していきます。

家族との生活のサポート
まず、Metaが特に力を入れているのが家族支援です。子どもを迎えたすべての親に対して、有給での育児休暇が提供され、男女問わずキャリアと家庭の両立を後押ししています。不妊治療や卵子凍結、代理出産、養子縁組などを補助する支援内容は、業界内でも先進的な制度であり、多様なライフスタイルに対応しています。また、ベビーシッターや高齢の親のケア費用の補助も用意されており、仕事と家庭の両立を幅広く支えています。
健康・メンタルヘルス面のサポート
Metaは社員本人だけでなく家族まで対象とした医療・歯科・眼科保険を提供し、幅広い治療をカバーしています。メンタルヘルス分野でも、カウンセリングセッションやマインドフルネスアプリへのアクセスが整備されており、ストレスの多い環境でも心のケアを欠かさない仕組みがあります。さらに、ジムやフィットネスクラスの費用を補助する制度、オフィスでの無料の朝昼晩の食事提供など、日常の健康を支える仕組みが揃っています。
経済面でのサポート
Metaの報酬体系の大きな特徴は株式報酬(RSU)です。会社の成長を自らの報酬と直結させる仕組みは、長期的な資産形成の大きな魅力です。加えて、生命保険・障害保険、資産運用を専門家に相談できるファイナンシャルサポートなども提供されています。短期・長期の両面から社員の経済的安心を強固にしています。
ワークライフバランスのサポート
十分な日数の有給休暇に加え、傷病休暇は無制限で利用可能とされるケースもあり、体調や家族の事情に柔軟に対応できます。勤続5年ごとに30日間の有給休暇が追加で付与され、自己投資や家族との時間、旅行などに活用できます。多忙な職場だからこそ、長期休暇を制度として保障する仕組みが社員にとって大きな魅力となっています。
Metaでは、こうした一般的な人気制度を網羅するだけでなく、さらにユニークで手厚いサポートを提供しているのが特徴です。次のセクションでは、Metaが具体的にどのような福利厚生を用意しているのか、さらに詳しく掘り下げていきます。
Metaと比較した、GAFAM各社の福利厚生

GAFAMはいずれも社員に魅力的な制度を提供していますが、それぞれのカルチャーや戦略が反映されており、「福利厚生の個性」がはっきり表れています。
Googleは、無料の食事や高品質なオフィスフード、フィットネス設備、マッサージプログラム、社員同士の学習を促すコーチング文化など、「職場そのものを快適で創造的にする」ための投資が手厚い企業です。出社とリモートのハイブリッドで働ける柔軟性や、目的別休暇の充実も相まって、日々の業務体験を高める福利厚生が多面的に用意されています。
Metaとの違いとしては、Googleが「働く場の快適さ」と学びのコミュニティづくりに強みを持つのに対し、Metaは出産祝い金や長期の有給育児休暇、無制限の傷病休暇など、家族中心の支援により厚みがある点があげられます。
Microsoft
Microsoftは創業以来「家庭と仕事の両立」を重視しており、その姿勢は福利厚生に色濃く表れています。性別を問わず最大20週間の有給育児休暇や、家族の介護・看護のための休暇を手厚く整備。特に重篤な健康状態にある家族のため、年間20日間の休業を認める制度はユニークで、家族のライフイベントに寄り添える環境が整っています。
Metaとの違いとしては、Microsoftが「包括的でバランス型」の家族支援を丁寧に用意するのに対し、Metaは出産祝い金や先進的な家族計画支援(不妊治療・卵子凍結・代理出産・養子縁組補助など)まで踏み込み、より直接的・積極的にライフイベントを後押しする点があげられます。
Apple
Appleの福利厚生は自社ブランドの哲学を色濃く反映しています。社員割引でApple製品を購入できる制度に加え、社員とその家族向けの専用医療クリニック「AC Wellness」を運営。高品質な医療サービスを社内に取り込むことで、長期的な健康を支える仕組みを整えています。さらに「Apple University」では、カルチャーや価値観を体系的に学ぶ機会を提供し、ブランドへの誇りと一体感を醸成します。
Metaとの違いとしては、Appleがブランド体験とヘルスケアを軸に文化浸透を図るのに対し、Metaは家族支援と時間(長期休暇・無制限病休)を柱に、生活の基盤を直接支える実利的なアプローチを採っている点です。
Amazon
Amazonは「働く人の健康と経済的な安定」を重視します。社員割引や医療費補助、出産育児給付金の上乗せなど、日常生活に直結するサポートが豊富。報酬面でも、基本給に加えてサインオンボーナスやRSU(株式報酬)が支給され、入社初期から経済的メリットを得られる仕組みが整っています。
Metaとの違いとしては、Amazonが健康と収入の最大化に直結する制度で即効性を重視するのに対し、Metaは家族支援+長期休暇+株式報酬を組み合わせ、キャリア全体を見据えた中長期的な安心を提供している点です。
Meta社員の口コミ

実際に働く社員の声を知ることは、制度の「使われ方」や「実感値」を理解するうえで重要なポイントです。ここでは、福利厚生に関する口コミをいくつかのカテゴリに分けて紹介します。
※あくまで転職サイト上に投稿された口コミの集合であり、事実を担保するものではございません。

福利厚生・オフィス環境
「食事は朝・昼・晩すべて無料で提供され、社内にスナックやドリンクも常備されています。健康的な食事を取れる環境はありがたい。」
「カフェやフィットネス設備が充実しており、職場にいる時間を快適に過ごせるよう細やかな配慮が行き届いていた。」
家族支援・休暇制度
「有給育児休暇は4か月間もらえ、性別を問わず取得できる点は大きい。復帰後のキャリアにも支障はなく、安心して家族との生活のバランスがとれる。」
「出産祝い金や不妊治療の補助など、他社ではまだ少ない家族計画支援制度があるのは非常にありがたい。」
ワークライフバランス
「無制限の病気休暇があるため、体調を崩したときに安心して休め、仕事と家庭の両立がしやすい環境です。」
「制度自体は手厚いですが、プロジェクトによっては長時間労働になることもあり、全てを十分に活用できないケースもあります。」
報酬・キャリア支援
「株式報酬(RSU)の比重が大きく、会社の成長と報酬が直結しているのは魅力的。」
「学習支援プログラムが豊富で、グローバルの優秀な人材から学ぶ機会が多い。スキルアップの場としては最高の環境と思われる。」
Metaで働くのが向いている人・向いていない人

Metaは「人々にコミュニティを築く力を与え、世界をより身近なものにする」というミッションを掲げています。その実現のために社員に期待されるのは、単なるスキルではなく、Metaが大切にする行動指針である、「Move fast(素早く動く)」「Be bold(大胆に挑戦する)」「Focus on impact(インパクトを重視する)」「Be open(オープンである)」「Build awesome things(すごいものをつくる)」に共感し、体現できる姿勢です。
ここでは、それを踏まえた「向いている人」と「向いていない人」の特徴を整理します。

向いている人の特徴
- スピードと実行力を重視できる人
Metaは「Move fast」をValueに掲げています。意思決定に時間をかけすぎず、まず動いて学び、必要なら修正できる人が成果を出しやすい環境です。 - 大胆に挑戦できる人
「Be bold」という言葉通り、既存の枠組みにとらわれず、大規模なサービスや新しい技術領域に果敢に挑める人が活躍できます。リスクを取らずに安全圏に留まる人よりも、新しいアイデアを試す姿勢が評価されます。 - 成果をインパクトで測れる人
Metaは「Focus on impact」を強調しています。小さなタスクの積み上げではなく、「ユーザーや社会に大きな影響を与える成果」に焦点を当てられる人に向いています。 - オープンなコミュニケーションができる人
「Be open」の文化のもと、情報共有やフィードバックが活発に行われます。立場や年次を問わず率直に意見を交換し、透明性を重視できる人がフィットします。 - 自ら課題を見つけて動ける人
Metaは「Build awesome things」を掲げており、受け身ではなく主体的に課題を設定し、解決のために行動できる人が評価されます。

向いていない人の特徴
- 安定した環境や指示待ちを好む人
変化のスピードが速く、常に新規プロジェクトや方針転換があるため、安定志向やトップダウンの指示を待つ働き方では適応が難しいです。 - 挑戦より安全を優先する人
Metaは失敗から学ぶ文化を前提にしています。リスクを恐れて新しい提案や行動を避ける人は評価されにくいでしょう。 - 小さな成果に満足してしまう人
「Focus on impact」の文化に合わず、インパクトの小さい業務に固執する人は活躍が難しいです。 - オープンな議論やフィードバックを避ける人
情報共有が透明で率直なため、批判的意見も歓迎されます。クローズドな環境を好む人や、他者の意見を受け入れられない人はカルチャーに合いません。 - 協働より個人主義を貫く人
グローバルな多様性の中で成果を出すには、他者と学び合う姿勢が欠かせません。自分の成果だけに固執する人は孤立しやすいでしょう。
Meta社員の平均年収は?

口コミサイトをはじめとした各種転職サイトを参照すると、情報源によりばらつきはあるものの、Metaの平均年収は約1,500~2,000万円とされています。これは日本の平均年収(458万円/2023年)の3倍以上となっており、かなりの高水準と言えます。
給与は基本給・賞与・RSUで構成され、会社の成長と個人の収入が密接にリンクする仕組みが整っています。
まとめ

本記事では、世界トップクラスのIT企業Metaが提供する報酬と福利厚生の全貌を解説しました。
Metaの制度は、単に手厚いだけでなく、社員一人ひとりの生活の安定、家族、そして長期的な資産形成までを包括的に支えることで、最高のパフォーマンスを引き出すという明確な「戦略」に基づいています。特に、会社の成長と個人の報酬を直結させる株式報酬(RSU)は、その思想を象徴する制度と言えるでしょう。
Metaの事例は、優秀な人材を惹きつけ、イノベーションを生み出し続ける企業の強さが、いかに戦略的な人材投資によって支えられているかを明確に示しています。この記事が、今後の企業のあり方やご自身のキャリアを考える上での一助となれば幸いです。