「中小のSES企業から内定をもらって嬉しかったのに、ネットで『やめとけ』と書かれていて不安になってきた…」 「新卒カードをSESで切るのは無駄なのでしょうか?」
就職活動中、あるいは入社直後の新卒エンジニアから、このような悲痛な悩みが日々ネット上に書き込まれています。 結論から言えば、「SESだから一概にブラック」というわけではありませんが、会社選びを間違えれば「新卒の貴重な数年間を無駄にする」のは事実です。
本記事では、実際の方にインタービューを元に構成してます。渡辺翔太さん2002年生まれ 4月入社の22歳。就活生のリアルな悩みと、新卒でSESに入社した先輩エンジニアの「生々しい1年間の体験談」をご紹介します。そこから、新卒でSESを選ぶ「本当のメリットとデメリット」、そして2026年のAI時代を生き抜くためのキャリア戦略を徹底解説します。
【新卒のリアル】内定ブルーに陥る新卒就活生の葛藤

まずは、ネット掲示板(Yahoo!知恵袋)に実際に投稿された、ある就活生の切実な悩みと、先輩エンジニアたちからの回答を見てみましょう。ここには、SES業界の「リアルな現在地」が詰まっています。
【相談者(Fラン大・25卒)の悩み】 「5月ごろに、SESの中小企業から内定をいただき本当に嬉しかったです。しかしネットで調べると『新卒でSESはやめとけ』『精神病む』『新卒カードの無駄』『ブラック企業』など様々なワードが目に映ります。 会社の方々は温厚で優しく、懇親会も和やかでした。ただ、5chを見ると2〜3次請けが多いようです。ワークライフバランスを考えてITを選んだのですが、本当にここで良かったのか今にも潰れてしまいそうな気持ちです…。」
この悲痛な相談に対して、業界の先輩たちからは以下のようなシビアかつ本質的な回答が寄せられました。
- 回答A:「SESはピンキリ。会社単位で見極めよ」 「口コミで蔓延るような会社は人材を駒としか思っていませんが、エンジニアファーストで案件を取ってくる会社や、一次請けができる会社もあります。新卒なら大手SIerや自社開発が良いのは事実ですが、入社が難しいなら優良な中小SESに行くのも手です。」
- 回答B:「未経験・中途を採用しているなら新卒カードはもったいない」 「『新卒カードの無駄』と言われる理由は、その会社が『未経験の中途採用』も行っているかどうかにあります。中途でも入れる会社に、あえて新卒カードを使うのはもったいないという意見は理解できます。重要なのはSESという言葉ではなく『何次請けのポジションか』です。」
- 回答C:「WLB(ワークライフバランス)を期待する業界ではない」 「IT業界は昔よりマシになりましたが、WLBを期待して入る業界ではありません。そう覚悟しておけば『意外と酷くないな』と感じるはずです。運が良ければリモート案件もありますが、それよりもエンジニアとしてスキルアップを怠らないでください。」
相談者は最終的に「WLBは諦め、転職前提の業界だと腹を括ってこの道に進む」と決意しています。 このように、SESは「入って終わり」ではなく、「入った後どう動くか」がすべてを決める世界なのです。
【実録】SESからスタートアップへ。文系新卒の1年間の軌跡

では、実際に新卒でSESに入社するとどのような生活が待っているのでしょうか? 文系未経験から新卒で零細SESに入社し、待機地獄や案件ガチャに苦しみながらもキャリアを切り拓いた「渡辺翔太さん(社会人1年目)」のリアルな体験談をご紹介します。
① ギリギリの就職活動と、卒業5日前の内定
渡辺翔太さんは私立文系出身。「Web系自社開発企業に入る!」と決意するものの、ポートフォリオ(作品)を作らないまま就活を先延ばしにし、自社開発は全落ち。結局、卒業5日前に「未経験歓迎の10人もいないようなSES企業」に滑り込みました。
② 1社目SES:いきなり「5ヶ月の待機」と社内ニート化
入社後に待っていたのは「5ヶ月間の待機(案件が決まらない状態)」でした。技術研修もなく、タスクも与えられない社内ニート状態。 危機感を覚えた渡辺翔太さんは、業務中や業務外にプログラミングや資格勉強に没頭し、「会社に力がない。環境を変えなければ」と夏の段階で転職を決意します。 未経験ながら「データ領域」に目をつけ、独学をアピールして約2ヶ月の活動で2社目のSESへ転職します。
③ 2社目SES:充実の研修、しかし「案件ガチャ」の罠
2社目は研修が充実していましたが、またしても初案件まで5ヶ月待機。その後、初めての開発案件(2ヶ月)を経験しますが、次の現場は「データ計測ツールを導入し、画面をポチポチするだけの業務(SQL等は皆無)」でした。
「自己学習をしている方がマシだと感じ、自社に現場変更を働きかけました。しかし、先方の契約維持の意向が強く、半年近く放置されました。これ以上無駄な時間を過ごしたくないと、再び転職を決意しました。」
④ 3社目(事業会社)への転職で見えた「SESの良さ」
渡辺翔太さんは事業会社(スタートアップ)のデータアナリストへ転職。モダンな開発環境を手に入れましたが、意外な壁にぶつかります。
「スタートアップ特有の『サークルみたいな人間関係の近さ』が自分には合わず、居心地が悪く感じました。実は、『働きやすさ』という意味では、適度な距離感で働けるSESの形態の方が自分には合っていたと気づいたのです。ただ、SESの『ガチャ要素が強すぎる点』だけがキズでした。」
2026年 新卒でSESを選ぶメリットとデメリット

客観的な意見と、渡辺翔太さんの主観的な体験談から、新卒でSESを選ぶことの「本当のメリットとデメリット」が浮き彫りになります。
メリット①:未経験からでもIT業界に潜り込める

卒業5日前でも内定をもらえたように、中小SESは「ポテンシャル採用」の枠が広いです。自社開発企業は即戦力を求めるため新卒の枠が極めて狭いですが、SESは「IT業界への入場チケット」として非常に機能します。
メリット②:ドライで「適度な距離感」の人間関係



SESは客先常駐であるため、現場の人間関係がドライになりやすいです。スタートアップ特有の「土日も社員でBBQ」といったウェットな関係性が苦手な人にとって、「仕事は仕事」と割り切れるSESの距離感は精神衛生上大きなメリットになります。
メリット③:戦略次第で「キャリアの軌道修正」が可能



SESは現場が変わるため、もし1つの現場がハズレでも、次の現場でアタリを引ける可能性があります。空き時間を使って勉強すれば「次のステップ(転職や現場移動)」に進むことができます。
デメリット①:長すぎる「待機期間」のリスク
自社の営業力が弱いと、新人を現場に押し込むことができず「待機」が発生します。優良企業なら待機中も給与が100%出ますが、悪質な企業だと休業手当(60%)に減額されたり、放置されてスキルが全く身につかなかったりします。
デメリット②:絶望的な「案件ガチャ(業務内容ガチャ)」
「データ分析がしたいのに、画面ポチポチ業務」「開発がしたいのに、ひたすらエクセルでテスト仕様書作成」。本人のキャリアプランを無視し、会社の利益(穴埋め)のために配属を決める企業では、エンジニアとしての寿命が縮みます。
デメリット③:多重下請けによる「給与の頭打ち」
「2〜3次請け」の企業に入ると、クライアントが払ったお金の大半を上の企業に中抜きされてしまうため、どれだけ頑張っても給与が上がらないという構造的な壁にぶつかります。
2026年、新卒SESを取り巻く「3つの残酷な現実とチャンス」


もしあなたが新卒(第二新卒)としてSES業界での転職やキャリアアップを考えているなら、2026年のIT市場で何が起きているのか「事実」を押さえる必要があります。ピンチとチャンスが混在しています。
① 生成AIによる「新人向け単純作業」の消滅
ChatGPTやGitHub Copilotの普及により、これまで新人が担当していた「簡単なコーディング」や「テスト作業」は、AIが一瞬で終わらせるようになりました。 そのため、「AIを使わせてもらえない現場」や「手動のテストばかりさせる企業」にいる新卒は、市場価値が全く上がらないという残酷な現実があります。
② 2026年「下請法改正」と優良企業の台頭
2026年に本格化した下請法の運用見直しや「取引Gメン」の監視強化により、IT業界の多重下請け(中抜き)構造にメスが入り始めました。 これにより、「しっかり単価交渉をして若手に還元するホワイトSES」と、「低単価のまま新卒を使い潰すブラックSES」の格差がかつてないほど広がっています。会社選びを間違えなければ、SESでも高い給与とスキルを得られる時代です。
③ 若手(第二新卒)に求められるスキルの変化
企業が20代の若手に求めているのは、即戦力の技術よりも「自走力(キャッチアップ能力)」です。
- クラウドインフラの基礎: AWS(CLFやSAAなどの資格)の知識。
- モダンな言語への適応: PythonやTypeScriptなどへの学習意欲。
- AIツールの活用: 「わからないことはまずAIに聞いて解決の糸口を掴む」という現代的な問題解決能力。
これらの「伸びしろ」をアピールできれば、経験の浅い新卒でも優良企業への転職は十分に可能です。
新卒・第二新卒が「ブラックSES」から脱出するためのロードマップ


渡辺翔太さんのように「人間関係はSESのドライさが好きだけど、案件ガチャはもう嫌だ」という方はどうすればいいのでしょうか? 答えはシンプルです。「案件選択の自由があり、単価を公開しているホワイトSES(高還元SES)」へ転職することです。
STEP1:今の現場の「余白」を自己学習に全振りする
もし今あなたが「画面ポチポチ」のロースキル現場や「待機中」だとしても、絶望する必要はありません。残業がないこと(時間が余っていること)を逆手にとり、業務外で資格取得やポートフォリオ作成に時間を全振りしてください。
STEP2:「ポテンシャル」と「一貫性」で転職理由を作る
実務経験が乏しい若手が転職する場合、「会社のせい」にするのはNGです。 「今の現場で●●の課題を感じ、独学でPythonを学んだ。この知識を活かして●●の領域に挑戦したいが、現職ではそれが叶わないため転職を決意した」というように、「行動に伴う一貫したストーリー」を作れば、第二新卒として高く評価されます。
STEP3:「案件選択制度」と「単価公開」のある企業を選ぶ
転職先選びで絶対に譲ってはいけないのがこの2点です。
単価公開(高還元): 自分のスキルが「月いくらで売れているか」を把握できる透明性の高い会社を選びましょう。
案件選択の自由: 営業が持ってきた複数の案件の中から、エンジニア自身が「やりたい技術」を選べる会社なら、案件ガチャは100%発生しません。
新卒SESのキャリアに関する「よくある質問(FAQ)」


「客先常駐=ブラック」という固定観念は、過去の体験談や一部の劣悪な環境がもとで広まった側面があります。しかし、現代ではその中にも明らかにホワイトと呼べる企業が存在しており、エンジニアの働き方に寄り添った環境づくりが進んでいます。
企業によっては、週1での定期面談や評価制度の透明化、技術研修への投資、キャリアビジョンを共有する面談の実施など、多面的な支援体制を整えています。働く場所が「常駐先」であっても、労働者として尊重され、自分の意志とスキルを育める環境であれば、ブラックとは言えないのです。
重要なのは、働く環境そのものではなく、それをどうマネジメントし、エンジニアに向き合っているかという“企業の姿勢”です。客先常駐という働き方に対して懸念を持つ方も、本記事を通じてその先入観を見直し、前向きにキャリアを選べるきっかけとなれば幸いです。
- 入社して1年未満で辞めると、書類選考で不利になりませんか?
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理由次第で全く不利になりません。
「なんとなく合わないから」はNGですが、「開発志望だったが監視業務のみに固定され、異動の希望も通らなかった。独学でAWS SAAを取得しており、よりモダンな環境で技術を磨くために早く環境を変えたい」といったポジティブな行動(資格取得など)を伴う理由であれば、企業は「見切りをつける決断力と成長意欲がある」と高く評価します。
- 新卒カードをSESで使うのは本当に「無駄」ですか?
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「誰でも入れるブラックSES」に使うのは無駄ですが、優良SESなら有意義です。
未経験の中途でも余裕で入れるような3〜4次請けの企業に新卒で入るのはもったいないです。しかし、研修が手厚く、モダンな技術に触れられる1〜2次請けの優良SESであれば、自社開発以上のスピードで成長できるため無駄ではありません。
- 「自社開発(スタートアップ)」に行くべきか迷っています。
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「チームの濃い人間関係」か「ドライな技術追求」のどちらが好きかで決めてください。
自社プロダクトに深く愛着を持ち、社員同士で休日も遊ぶような熱量の高いコミュニケーションを好むならスタートアップが向いています。逆に「人間関係は適度な距離感を保ち、様々な現場の最新技術だけを吸収して単価を上げたい」なら、案件を選べる「ホワイトSES」が最適解です。
まとめ:あなたのキャリアは、自ら「選択」できる


渡辺翔太さんのように、入社前から不安に押しつぶされそうになっている新卒の方へ。IT業界は、良くも悪くも「自分の実力と行動次第で、いくらでもひっくり返せる業界」です。
新卒の数年間を「案件ガチャ」や「待機」で無駄にしてしまったと後悔している方も、諦める必要はありません。戦略的に自己学習を進め、環境を変える行動を起こせば、キャリアは必ず軌道修正できます。
「適度な距離感で働きたいが、案件は自分で選びたい」 「スキルに見合った適正な評価(単価)を知りたい」 「テスト業務から抜け出して、モダンな開発環境にステップアップしたい」
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