SES企業に疲れたときはどうすれば良い?対処法は?

SES(システムエンジニアリングサービス)企業で働いていると、「SESに疲れた」「SESを辞めたい」と感じることは少なくないかもしれません。
しかし「疲れ」の原因を正しく理解せず、ストレスのかかった状態で働き続けていると、精神的にも肉体的にも取り返しのつかない事態になってしまうことも考えられます。
本記事では、SESエンジニアが直面しがちな課題を深掘りし、ストレスに対しての具体的な対処法や、優良企業を見極めるポイント、さらには理想の転職先を見つけるためのヒントまで、網羅的に解説します。
そもそもSES企業とは?

SESとは、System Engineering Serviceの略で、SES企業が自社のエンジニアをクライアント企業へ常駐させて技術力や専門スキルを提供するサービス・契約形態を指します。エンジニアはSES企業に勤めながら、クライアント先の案件に参画して業務を遂行します。
SESの業務内容には、アプリケーション開発、インフラ構築、運用保守、ヘルプデスク、PMO支援などがあります。派遣とは異なり、指揮命令権はSES企業にありますが、実質的には現場に即した働き方となるため、現場によって働きやすさやキャリアの幅に大きな差が出るのが実情です。
エンジニアがSES企業に疲れたと感じる理由

SES企業に身を置くエンジニアたちの中には、業務の性質や環境により、疲れやストレスを感じることが少なくありません。SESという働き方は、柔軟性や多様な経験が得られる反面、コントロールしづらい要素も多く、疲弊につながるケースがあります。ここでは、エンジニアが疲弊してしまう具体的な理由を深掘りしていきます。

キャリアが見えにくい
SES企業では案件ごとに業務内容が変わるため、自分のキャリアビジョンに沿った成長がしづらく、方向性が定まりにくいという課題があります。やりたい領域があっても希望が通らなかったり、同じ業務を繰り返すことで成長実感が持てず、将来への不安につながります。
自身のスキルと案件のミスマッチ
会社の規模が小さい場合など、選べる案件の数自体が限られており、開発をやりたいのに運用やテストばかりであったり、逆に自分のスキルセット以上の案件をやらされるなどといったことがあります。こうした業務の幅は疲れる原因となってしまいます。
評価制度の曖昧さ
現場での頑張りや成果が、所属するSES企業での評価にきちんと反映されない場合もエンジニアが疲れてしまう原因の一つとなり得ます。例えば、クライアント先では高評価でも、昇給や査定制度に結びつかず、モチベーションの維持が困難になる場合があります。
帰属意識の希薄さ・孤立感
基本的にクライアント先で業務を行うため、所属企業のメンバーと顔を合わせる機会が極端に少なくなります。定期的な帰社日やオンラインでの交流会がない企業だと、所属企業からの評価も受けづらく、孤立感からくる疲れに悩まされる場合があります。
所属企業の上司とクライアント企業の上司に板挟みされることも
SESのように所属企業の上司とクライアント先企業の上司のどちらにも気を遣い、ときにはどちらからも叱責を受けることもあります。このような環境は自身の精神が疲弊してしまう原因となってしまいます。
実際のエンジニアの体験談

※口コミ / SNSなどで収集した情報を元に、あくまで複数事例の集合として掲載しております。
1人目:スキル停滞と将来への不安が募るエンジニア

スキル停滞と将来への不安が募るエンジニアAさん(27歳)
入社して5年、任されるのは大規模システムの監視やExcelでのテスト仕様書作成ばかりで、本格的にコードを書いた経験はほぼゼロ。夜勤シフトで生活リズムはボロボロ、疲れ果てたうえ、スキルは何も身につきません。
先日、同期が自社開発企業でキャリアアップしている話を聞いて、言いようのない焦りに襲われました。『このままじゃ飼い殺しにされる』と危機感を覚えて転職活動を始めたものの、面接で『あなたの強みは何ですか?』と聞かれて言葉に詰まる始末…。胸を張って『開発できます』と言えない自分が情けなくて、この先どうすればいいのか、本当に不安で眠れない夜が続いています。



ブラックなSESからホワイトSESな企業へ転職したエンジニアBさん(30歳)
前の会社は、典型的なブラックSESでした。クライアントからの契約単価が月80万円だと知らされたときも、私の給料は20万円台。残業代もろくに出ず、魂が削られていくような毎日でした。
心身ともに限界を感じて、キャリアサポートが手厚いと評判のSES企業に転職したんです。そしたら、世界が変わりました。今の会社は還元率や単価を全てガラス張りで公開していて、同じような案件でも給料は10万円以上アップ。配属前には複数の開発案件を提示してくれて、自分の意思で選ばせてくれる。待機期間中も給与は100%保証です。SESという働き方が悪いのではなく、会社選びを間違えると地獄を見るのだと痛感しました。
もし今、昔の私のように正当に評価されず疲弊している人がいるなら、『諦めるのはまだ早い』と伝えたいです。
疲れる原因となるSES企業の例


すべてのSES企業が疲弊につながるわけではありませんが、一定の傾向を持つ企業に共通する特徴があります。ここでは、特にエンジニアの疲労感を強めやすいSES企業のタイプを具体的に解説します。


キャリアを無視した案件配分
自分の希望やスキルと関係なく、会社の都合だけで現場を決められてしまう場合もエンジニアにとってはストレスになりやすいです。やりたい仕事ができず、スキルアップにもつながらないため、疲れる原因となりえます。
長時間労働の放置
サービス残業が当たり前になっていたり、クライアント先の労働環境が過酷だったりしても助けてくれないSES企業も注意が必要です。心身ともに追い詰められてしまいます。
孤独で相談相手がいない
クライアント先に一人で常駐し、所属企業の社員との交流がまったくない状態もストレスを抱えやすいです。困ったことや悩みを誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまいがちです。
教育体制が整っていない
研修制度やメンター制度、資格取得支援などが整っていないSES企業では、スキルアップの機会が乏しく、成長が感じられません。同じような単純作業に追われることで、「自分の市場価値は上がっているのか?」という不安が強まります。
評価や待遇が不透明なSES企業
給与体系や昇給基準がはっきり示されていないSES企業では、どんな成果を出せば待遇が良くなるのかが分からず、不信感が生まれます。また、透明性のない人事評価は納得感を欠き、離職リスクの増加にもつながります。
SES企業に疲れたと感じた時の対処法


「疲れた」と感じたとき、すぐに退職や転職に踏み切る前に、段階的な対応を検討することが重要です。問題の本質を見極めたうえで、状況を改善するためのアプローチを行うことで、気持ちの整理や新しい一歩につながることもあります。


キャリアの棚卸しを行う
まずは、自分がこれまでどんな経験をしてきたか、どのスキルに強みがあるか、将来的にどうなりたいのかを明確にしましょう。自分の価値や希望を可視化することで、次に進むべき道がクリアになります。
現場での改善を試みる
人間関係や業務量に疲れている場合、SES企業における上長や営業担当に相談することで、配置変更や作業内容の見直しが可能な場合もあります。小さな改善が大きな変化を生むこともあるため、一度働きかけてみるのが得策です。
社内制度を確認し、活用する
配属の変更やキャリアチェンジ支援など、社内に用意された制度がある場合は積極的に利用しましょう。特に中〜大規模なSES企業では、制度が整っているにも関わらず周知が不足しているケースもあります。
並行活動を始める
業務以外の時間を使って新しいスキルを学んだり、ポートフォリオを作成することで、モチベーションを保ちつつ将来の転職に備えることができます。勉強会やコミュニティへの参加も有効です。
転職を視野に入れて専門家に相談する
エージェントに相談することで、自分の希望や現状を客観的に整理できます。自力では見えづらかった選択肢や、自分に合った企業の情報も得られ、納得感のある転職活動につながります。
よくある質問


Q1. SES企業に疲れたが、他の業種でも通用する?
A. 汎用的な開発スキルやプロジェクト管理経験があれば他業種でも十分通用します。
Q2. 今すぐ転職するべき?
A. まずはキャリアの棚卸しや相談から始めましょう。即転職ではなく段階的な対応が有効です。
Q3. 現在の契約期間中でも転職活動して大丈夫?
A. 問題ありません。むしろ余裕を持って次の職場を探す方が精神的にも安定します。
Q4. 退職を切り出すタイミングは?
A. 次の転職先がある程度決まってからがベストです。現場や営業との調整も考慮しましょう。
Q5. 未経験分野への転職は可能?
A. 難易度は上がりますが、学習意欲やポテンシャルが評価される企業もあります。
Q6. 同じようなSES企業に転職してしまわないか心配です。
A. 転職時には企業の体制や教育制度、アサイン方法を詳細に確認しましょう。口コミのチェックや面談時の質問が有効です。
まとめ


SESエンジニアの「疲れ」は、案件を選べないこと、客先の労働環境、スキルアップの難しさ、不透明な報酬、そして孤独感など、複合的な要因から生じます。
しかし、全てのSES企業がストレスフルとは限らないため、あなたに合った企業を見極めることが重要です。
「SESだから仕方ない」とキャリアを諦める必要は全くありません。自分のキャリアを活かせる、成長させられる環境を見つけましょう。