「上流工程(要件定義・基本設計)に行かないと、エンジニアとしての寿命は尽きる」
2026年現在、まことしやかに囁かれるこの定説に、不安を感じているエンジニアは多いのではないでしょうか。 しかし、実際の開発現場を見渡してみると、PMでもアーキテクトでもない、いわゆる「手を動かすおじさんエンジニア」が重宝され続けているケースは確かに存在します。
彼らは決して、天才的な技術力を持っているわけではありません。 では、なぜリストラされず、現場から「いてくれないと困る」と言われるのか?
本記事では、SES業界の現場で見えてきた「40代・50代でも生き残る人の共通点」と、若手エンジニアが今から意識すべき「地味だけど最強の生存戦略」について解説します。
(一般的なキャリアパスについては、[【ロードマップ解説】SES企業からのキャリアパスを徹底解説!]もあわせてご覧ください。)
「ただ歳をとった人」と「居場所を作った人」の決定的な差

まず残酷な現実からお話しします。 SESエンジニアの中には、会社都合で案件に入り、言われた通りの実装・テスト・運用を回すサイクルをただ繰り返してしまった人がいます。
この場合、40代・50代になっても「判断は常にリーダー任せ」「詳細設計書がないと動けない」という状態になり、若手と比較されて「単価が高い割に使えない」と判断され、徐々に選択肢を失います。
一方で、生き残っているベテランたちは、そもそも「若手と同じ土俵(最新技術のキャッチアップ速度やコーディング量)」では戦っていません。 彼らが選んだのは、若い人があまり手を出したがらない、しかし現場では絶対に欠かせない「ニッチで泥臭い領域」です。
若手が嫌がる「4つの聖域」。ここがベテランの勝ち筋だ

具体的に、どのような仕事が「40代・50代の生存領域」になっているのでしょうか?
現場で実際に評価されているのは、以下の4つのポジションです。
① 10年以上稼働している「レガシーシステムの改修」
- 若手の心理: 「古いJavaやCOBOLなんて触りたくない。GoやRustがやりたい」
- ベテランの価値: 仕様書は散逸し、当時の担当者もいない。頼れるのは「コードとログ」だけ。こうした現場では、最新技術よりも「行間を読む力」や「粘り強く解読する力」が求められます。これは経験年数がそのまま武器になる領域です。 (参考:[経済産業省「DXレポート」におけるレガシーシステム問題)
② 障害対応の「一次切り分け役」
- 若手の心理: 「エラーが出ると怖い。責任を取りたくない」
- ベテランの価値: 何が起きているのか、逆に「何が起きていないのか」を冷静に切り分ける力。パニックになる現場において、「まずはここを確認しよう」と言える経験値は、PMにとって何よりの安心材料です。
③ 設計レビューと「影響範囲の洗い出し」
- 若手の心理: 「動けばOK。細かい依存関係まで気にしていない」
- ベテランの価値: 「この修正、あっちのバッチ処理に影響しない?」といった、見えにくいリスクを事前に察知する力です。これは数々の失敗(バグ)を経験してきた人間にしかできません。
④ 運用改善と「引き継ぎの整理」
ベテランの価値: 属人化した作業を言語化し、誰でもできるように整える。「自分が抜けても回る仕組み」を作ることは、パラドックス的ですが「最も評価される(抜けたら困る)仕事」なのです。
若手の心理: 「ドキュメント作成は面倒くさい。コードだけ書きたい」
「パフォーマンス」よりも「安心感」で勝負する

これら4つの領域に共通するのは、「新しいものを作らない」「目立たない」「成果が派手ではない」という点です。 だからこそ、キラキラした開発をしたい若手との競合が起きません。
40代・50代で現場に残っている人が評価されているのは、「開発スピードが速いから」ではありません。
「その人がいることで現場が安定するから」「いなくなると誰に聞けばいいか分からなくなるから」です。
クライアントがお金を払っているのは、技術力そのものに対してではなく、「システムを安定稼働させてくれる安心感」に対してなのです。欠です。
20代・30代へ:未来の自分のために「面倒なこと」を引き受けろ
この話は、現在20代・30代のエンジニアにとっても他人事ではありません。 今は最新技術を追いかけるのが楽しくても、いつか体力や記憶力で若手に勝てなくなる日が来ます。
その時のために、今から以下の2点を意識して仕事をしてみてください。
- 「自分がいて助かる理由」を説明できるか? (コードが書ける、以外の付加価値はあるか?)
- 「自分が抜けたら困る理由」を作れているか? (面倒な調査やドキュメント整備を、あえて引き受けているか?)
少し面倒で、少し地味で、少し責任が重い領域。 そこを避けて通るか、あえて引き受けて「頼られるポジション」を確立するか。 その積み重ねが、10年後、20年後のあなたの「エンジニアとしての寿命」を決定づけます。
まとめ:生存戦略は「上流」だけではない

「上流工程に行かなければ」と焦る必要はありません。 しかし、「何も考えずに作業者のままでいること」は致命的です。
年齢が上がるほど、「若手がやりたがらないけれど、誰かがやらなければならない仕事」の価値は高まります。 そこを自ら拾いにいき、自分の居場所(サンクチュアリ)を構築できる人こそが、2026年以降も生き残る本物のエンジニアです。
「今の現場で、自分はただの作業者になっていないか?」「将来のために、どのような立ち位置を目指すべきか?」
今後のキャリア戦略に迷いがある方は、ぜひ株式会社Sazeにご相談ください。 あなたの性格や強みに合わせた、無理のない「生存戦略」をSazeのキャリアエージェントが一緒に考えます。






