SES企業への就職・転職を検討しているITエンジニアの方であれば、一度は「還元率」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
一般的には「高還元率のSES企業=給料アップにつながる」というイメージを持たれがちですが、実際はそれほど単純な話ではありません。なぜなら、企業によって「還元率の計算方法」が全く異なるためです。
本記事では、2026年最新のIT業界動向を踏まえ、SES還元率の基本的な概念から、平均・相場、さらには「高還元率が必ずしも給料アップにつながらないカラクリ」についてわかりやすく解説します。 記事後半では、検索でよく調べられているキーワードを元にしたFAQもご用意しました。透明性の高い「ホワイトなSES企業」を見極めるための参考にしてください。
エンジニアの還元率とは?

エンジニアの「還元率」とは、SES企業がエンジニアをクライアント先(現場)に派遣した際、クライアントから受け取る「人月単価(SES単価)※」のうち、実際にエンジニア側へ報酬として還元される割合を指します。
たとえば、以下のような例で考えてみましょう。
- クライアントからの報酬(SES単価): 100万円/月
- SES還元率: 70%
この場合の「基準」となるエンジニア報酬は、 100万円 × 0.7 = 70万円 となり、残りの30万円は企業側の取り分(マージン・経費)となります。
一見すると、「還元率が高ければ高いほど、手取りも増えそう」と思うかもしれません。しかし、実際にはこの70万円からさらに様々な経費が引かれるケースが多いため、「還元率=最終的な手取り額の割合」ではないという点に注意が必要です。
※人月単価(SES単価)とは?
1人のエンジニアが1ヶ月稼働することで発生するコスト(売上)を指します。IT業界のプロジェクト見積もりなどで一般的に用いられる指標です。
【2026年版】SES 還元率の平均・相場を知ろう

これから転職活動をするにあたりSES還元率の平均と相場 は必ず押さえておくべき数字です。
当サイト(SES企業還元研究所)の独自調査によれば、2026年現在のSES単価の平均は約70万円、還元率の平均はおよそ60%〜65%という結果が出ています。 もし提示された還元率が70%を超えてくるようであれば、業界的には間違いなく「高還元率」の部類に入ると言えるでしょう。
重要:「還元率×人月単価=実際の月給」ではない
ここで絶対に忘れてはいけないのが、表面上の数字だけで判断しないことです。 SES企業によっては、還元率の対象を「エンジニアの手取り」以外(会社が負担する社会保険料の半分や、交通費、福利厚生費など)を含めて計算している場合があります。
※詳細情報
SES単価や還元率の一般的な計算方法や高還元SESの裏側については、下記の記事もご覧ください。

還元率が高いと給料は上がるのか?

結論からいうと、「還元率が高ければ給料も高い」とは限りません。還元率と実際の給料の差分がある例として、社会保険料や交通費、福利厚生費など、エンジニアが業務を行ううえで必要なコストをエンジニア報酬から控除するケースが挙げられます。
- 例: SES単価100万円、還元率70%、諸経費20万円の場合
この場合、
100万円 × 70% = 70万円
70万円 − 20万円 = 50万円
が最終的な給与となり、実質的な還元率は 50万円 ÷ 100万円 = 50% となります。 「還元率70%」と聞いていたのに、実質は50%だった…ということも珍しくありません。また、求人サイトや採用HPで還元率をチェックしていた場合、入社時点で提示される還元率が異なる場合もあります。これは、掲げていた還元率はあくまで上限値であり、実際の平均値はそれより低かった、といった採用文句として還元率が掲載されていたケースです。このように、高還元率を掲げる企業であっても、さまざまな要素によって最終的な手取り額が下がるケースは珍しくありません。SES企業を選ぶ際には、こうした仕組みを理解したうえで、「本当に給料が上がるのか」を見極める必要があります。
企業が還元率の内訳を開示したがらない5つの理由

「高還元率」を宣伝している企業が、その具体的な内訳を積極的に教えてくれないのはなぜでしょうか。そこには、企業のビジネスモデルや戦略上の理由があります。

(1)現場エンジニアからあがる不満を防ぐため
SES企業はクライアントからの単価とエンジニアの給与との差額を利益(マージン)として確保しています。もし還元率を完全に公開すると、エンジニアが自分の給与と請求額を直接比較し、不満やモチベーション低下につながるリスクが高まります。 そのため、還元率を曖昧に公表したり、全く公表しない企業も少なくありません。
(2)エンジニアからの給与交渉を避けるため
エンジニアが実際の単価を知ってしまえば、「自分にはもっと高い給与が見合うのではないか」と交渉に持ち込むことが容易になります。企業としては、こうした余計な交渉を避けたい思惑があるため、詳細を公表しないケースがあります。
(3)効果的な採用を図るため
上限値だけを掲げて平均や下限を明かさない、あるいはSES単価そのものを伏せる企業は、数字上の“魅力“を打ち出して採用を有利に進めたいと考えています。 例えば、「還元率80%」という高い数値を宣伝していても、それはごく一部の案件だけだったり、諸経費が別途差し引かれる可能性があるため、実際の手取りはそれほど多くないというパターンもあります。
(4)クライアントからの単価交渉を防ぐため
還元率を公開すれば、クライアント企業も「SES企業がどのくらい利益を取っているか」を簡単に把握できます。その結果、「もっと単価を下げられるのでは?」と交渉される恐れがあるため、非公開を貫く企業も少なくありません。
(5)コスト説明の困難さ
SES企業には営業・管理・福利厚生・教育研修などのさまざまな間接コストがあります。それらをすべて公開しても、エンジニア側が正しく理解できるとは限らず、かえって「自分が損をしている」と感じさせてしまう危険があります。
結果的にトラブルを避けるため、詳細を非公開にしている場合もあるのです。
とはいえ近年では、エンジニアからの透明性ニーズが高まっていることから、還元率やその内訳を開示し、報酬モデルやキャリアアップに応じた給与上昇を明確に提示している企業も増えてきています。
転職や就職活動の際には、こうした情報をオープンにしている企業を中心にリサーチしてみると、入社後のギャップを最小限に抑えられるでしょう。
【FAQ】高還元SESに関するよくある質問
ネット上でよく検索される疑問について、専門家の視点から率直にお答えします。
- 「高還元SES やめとけ」と言われるのはなぜですか?
-
「見せかけの高還元」でエンジニアを釣る悪質な企業が存在するからです。
経費を異常に引かれたり、待機期間中(案件がない期間)は給料が60%の休業手当に減額されたり、退職金や賞与が一切ないといったリスクが隠されている場合があります。「単価の公開」と「内訳の説明」ができない高還元SESは、やめておくのが無難です。
- 今の会社の「SES 還元率 30%」なのですが、低すぎますか?
-
異常な低さです。直ちに転職を検討すべき水準です。
相場が60〜65%である2026年現在、還元率が30%台(あるいは40%台)の企業は、多重下請け(3次請け・4次請け等)で激しく中抜きされているか、自社の利益を不当に高く設定している「搾取型」の企業です。
- ネットの「高還元SES 一覧」や「高還元SES ランキング」は信じていいですか?
-
全てを鵜呑みにするのは危険です。
ネット上のランキング記事は、広告費(アフィリエイト報酬)が高い企業が上位に掲載されているケースが多々あります。「還元率〇〇%」という見出しの数字だけでなく、「待機中の給与保証は100%か」「案件は自分で選べるか」という実態まで調べて比較してください。
- 結局、「高還元SES おすすめ」の選び方は?
-
「単価公開」と「案件選択制度」をセットで導入している企業を選ぶことです。
いくら還元率が高くても、会社都合で単価の低いロースキル案件に放り込まれれば(案件ガチャ)、結果的に給料は上がりません。自分の単価を知ることができ、自分で案件を選べる透明性の高い企業が、本当の意味での「おすすめSES」です。
数値上の還元率だけで判断しない

- エンジニアの還元率(SES還元率)とは クライアントから支払われる人月単価のうち、エンジニアが報酬として受け取る割合のこと。
- 還元率の平均・相場は約60%前後。70%を超えると高還元率と言われるが、あくまで目安。
- 高還元率=給料アップ、ではない。経費の控除などにより、結果的な手取りは下がる可能性がある。
- ホワイト企業の見極め方としては、還元率や内訳を明示し、エンジニアに情報をオープンにしている企業を探すのがおすすめ。
SES企業への就職・転職を検討する際、「数値上の還元率」だけで判断するのはリスクが高いと言えます。大切なのは、その企業がどれだけ情報を透明に開示し、あなたの疑問に誠実に答えてくれるかです。
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