「SESはIT業界の底辺だ」「案件ガチャに外れると人生が終了する」 ネット上には、SESという働き方に対する絶望的な言葉が溢れています。
こんにちは。大手SIerやITスタートアップでエンジニアとして15年勤務し、現在はIT業界専門のフリーランスライターとして活動している私が、現場のリアルをお話しします。
当サイトでは「SESという働き方自体が悪なのではなく、会社選びの問題だ」と繰り返しお伝えしています。しかし、だからといって「ブラックなSES企業が引き起こす悲劇」が嘘であるわけではありません。ハズレの企業を引いてしまったエンジニアが味わう限界ギリギリの状況は、紛れもない現実です。
今回は、私が長年IT業界で関わってきたエンジニアたちの生々しい「SESの絶望エピソード」を3つ紹介します。そして、彼らがその底辺とも言える状況からどうやって這い上がり、逆転のキャリアを掴んだのか、その「リアルな脱出ルート」を解説します。
1.「手取り14万の軟禁生活」待機ペナルティの罠

【Aさん(24歳・実務未経験で入社)の体験談】
「未経験からWebエンジニアになれる!」という求人を見て入社しました。しかし、最初の案件が1ヶ月で終了した後、次の案件が決まらず「待機(ベンチ)」状態に。 すると会社から「待機中は会社の利益に貢献していないから」と、給与を本来の6割(手取り14万円台)に減額されました。毎日自社の狭い会議室に出社し、特に指導もないまま延々と自習をさせられる日々。「自分は価値のない人間なんだ」と洗脳されかけ、精神の限界を迎えそうでした。
なぜこの絶望が起きるのか?
悪質なSES企業は、エンジニアのキャリアではなく「人月単価のピンハネ」だけで利益を出しています。営業力が弱いため案件を引っ張ってこれず、そのツケ(待機リスク)を違法スレスレの給与カットという形でエンジニアに全て押し付けているのです。
🔗 あわせて読みたい 【SES の闇を暴く】求人票だけでブラック企業は見抜ける?「募集要項」の裏を読むプロの技術 「未経験歓迎」「充実の研修」といった甘い言葉の裏に隠された、ブラック企業特有の罠を見抜く方法を解説。
2.「経験3年です(大嘘)」経歴詐称の生贄

【Bさん(27歳・実務半年)の体験談】
プログラミングスクールを卒業し、やっと開発案件に入れると思ったら、営業から渡されたスキルシート(職務経歴書)を見て血の気が引きました。そこには「Java開発経験3年・基本設計から経験あり」と書かれていたんです。 「現場でうまく合わせといて」と営業に言われ、炎上している大規模金融システムの現場へ。当然、周りの会話には全くついていけず、毎日詰められる日々。過度なプレッシャーで胃腸炎になり、3ヶ月で逃げるように現場を飛び出しました。
なぜこの絶望が起きるのか?
単価を吊り上げるため、あるいは上位会社(元請け)の入場要件をクリアするために、エンジニアの経歴を平気で「盛る」悪徳営業が実在します。結果として現場で孤立し、責任とプレッシャーを背負わされるのはエンジニア本人です。
🔗 あわせて読みたい SES・客先常駐でバックレはあり?!賠償請求など後悔しない選択をするために知っておくべきこと 精神が限界を迎えて「もう明日から行きたくない」と思った時、法的なリスクを回避しながら安全に離脱するための知識。
3.先輩SESの体験談

「やめとけ」と言われる実情をさらに具体化するため、先輩エンジニアの事例を見てみましょう。(仮名や一般的な内容をもとに、あくまで複数事例の集合として構成しています)。

Aさん(26歳・保守案件ばかりで転職)
「1年目からずっとインフラ運用と保守しかやったことがなく、気づけば3年目。プログラミングを学びたいと思っても案件を変えてもらえず、結局自社開発企業に転職しました。ネットで『SESはやめとけ』と言われる理由を痛感しましたね。」



Bさん(30歳・還元率の差を実感)
「最初のSES企業は、契約単価80万でも給料は20万台。転職先のSESは還元率を公開していて、同じ単価でも給料が5万以上アップしました。SES=搾取とは限らないけど、会社選びを間違えるとしんどいのかもしれません。」



Cさん(28歳・リモートできず通勤負担が重い)
「コロナで他社のエンジニアはリモートワークしてるのに、自分は客先が『セキュリティ上出社必須』と言い張るから毎日満員電車。営業に相談しても『契約上仕方ない』の一点張りで、精神的にきついです。」



Dさん(24歳・SESでスキルアップ成功)
「新卒入社したSES企業は、研修がしっかりあってJavaやデータベースを基礎から教わりました。2年目には大手企業の開発案件に入れて、上流工程にも少しずつ関わっています。周りは『やめとけ』って言うけど、今のところ悪くないですよ。」
4.本当にSESはやめとくべきなのか?


「SESはやめとけ」と一括りにされがちですが、実際には会社や案件次第で大きく評価が変わります。ここでは、SESが本当に悪い選択肢なのか、多角的な視点で考えてみましょう。
会社や案件ごとに質の差が激しい
大手SIer系列のSESや、還元率を公開している良心的な企業も存在します。一方で多重下請けの末端だったり、給与や労働環境をまったく改善しない企業もあります。そのため「どこのSES企業に入るか」でエンジニアの満足度は大きく変わるのです。
自身のキャリア目標との相性次第
短期間で多様な技術・業種を経験したいならSESは一定のメリットがあります。しかし「一つのサービスを長期的に成長させたい」「最新技術を突き詰めたい」という志向が強い人には、しばしば不満が募るかもしれません。
改善に向けた行動も可能
「やめとけ」と言われる要因の多くは、営業とのコミュニケーション不足や会社選びの誤りに起因することもあります。希望の案件を明確に伝えたり、キャリア面談を活用するなどのアクションを起こせば、今の環境を変えられる場合もあるでしょう。
5.SESで働くメリット・SESが向いているエンジニアの特徴を解説


SESにはネガティブな意見が多い一方で、ポジティブに活用しているエンジニアがいるのも事実です。ここでは、SES特有のメリットと、どのような人が向いているかを紹介します。
- 多様な案件・スキルを習得しやすい
短いスパンで複数のプロジェクトを渡り歩くこともあり、広い視野を得られます。このことから、自分がどの技術や業種に合っているかを試していきたいエンジニアには最適と言えるでしょう。 - 未経験や若手でも採用されやすい
大手自社開発だと即戦力を求められるケースが多いですが、SESは研修体制を持つ企業も多く、未経験・第二新卒の方でも挑戦しやすいメリットがあります。 - 人脈形成の機会が豊富
クライアントごとに新しいメンバーと働くことで、人脈が広がりやすいのがSESの魅力です。フリーランスや別の企業への転職を視野に入れている方には、そのネットワークが役立つかもしれません。
6.優良SES企業の見極め方


「やめとけ」と言われる理由の多くはブラック企業的な実態にあるため、優良SESを選びさえすれば、快適かつ成長しやすい環境を築くことも可能です。以下のポイントを押さえて企業をリサーチしてみましょう。
- SES単価・経費の透明度
社内でSES単価や還元率をある程度公開している企業は、エンジニアを大切に扱う傾向があります。交通費や資格取得費用などをどこまで負担してくれるかも確認すると安心です。 - キャリアサポート・研修制度の実効性
定期的にキャリア面談を行い、エンジニアの希望やスキルを踏まえた案件アサインを実践しているかをチェックしましょう。「資格取得補助」や「勉強会支援」などの制度があっても、実際に活用されているかどうかを見極めるのが肝心です。 - 法令遵守・コンプライアンス意識
偽装請負や多重下請けを避けるため、契約形態や派遣法に配慮しているか、社員が相談しやすい窓口があるかなどを面接で確認すると、ブラック企業を回避しやすくなります。 - 社内コミュニケーション・帰属意識の強化
帰社日やイベント、オンラインミーティングなどで社員同士の交流を促進する企業は、エンジニアが孤立しにくいです。長期的に働くほど、こうしたフォロー体制の有無がモチベーションに直結します。
7.まとめ
SESは「やめとけ」と言われがちな一方で、企業選びを間違えず、案件アサインや還元率が透明な環境を得られれば、幅広い技術経験や人脈を得る好機にもなります。大切なのは、SESだから悪いと一括りにするのではなく、自分のキャリアプランや性格に合っているか、そして企業がエンジニアを適正に扱っているかを見極めることです。やりたい技術や働き方の希望を営業担当にしっかり伝え、疑問点を入社前に確認しておけば、SESを有効なステップとして活かす道が開けるでしょう。















