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「SESはやめとけ」と言われる理由を解説 

エンジニアの働き方として、近年ますます注目されている「SES(システムエンジニアリングサービス)」。一方で、SNSやエンジニアコミュニティをのぞいてみると、「SESはやめとけ」「SESではキャリアを積めない」「“高還元SES”には闇がある」など、否定的な意見が根強く見受けられます。 

こうした声を耳にした方の中には、「なぜそう言われるのか?」「SESのメリット・デメリットを実際に知りたい」と感じる方も多いでしょう。SES企業への就職や転職を検討する際には、ポジティブな情報、ネガティブな情報を問わず業界構造を正しく理解し慎重に見極めることが大切です。 

本記事では、なぜ「SESはやめとけ」と言われるのか、その背景や理由を具体的に解説します。加えて、「高還元SESは闇」と指摘される3つの主な理由や、優良なSES企業を選ぶためのポイントもご紹介。否定的な意見に振り回されることなく、自分に合ったキャリアプランを考える材料として、ぜひ参考にしてみてください。 

目次

なぜSESはやめとけと言われるのか? 

まずは、そもそもSESとは何かを改めて整理しましょう。SES(システムエンジニアリングサービス)とは、エンジニアをクライアント先に常駐させ、システム開発や保守運用などの業務を提供する形態の総称です。SES企業は、クライアントから支払われる人月単価(SES単価)を収益源とし、そこからエンジニアの給与や会社の利益を確保します。 

一見すると、「多様な案件を経験できる」「エンジニアにとっては収入が安定する」などのメリットがあるようにも思えます。しかし、ネット上には「SESはやめとけ」という声が絶えません。その理由として、大きく以下の4点が挙げられます。 

1.スキルアップの機会が限られるリスク

SESエンジニアは、クライアント先の要望に沿って業務を遂行する立場にあります。そのため、最新技術に触れるチャンスが少なかったり、希望とは異なる作業ばかりを任されたりする可能性があります。特に「人員の空きを埋めるための要員補充」に近い形で使われてしまうと、成長につながる案件を経験できないリスクが高く、キャリア形成上のデメリットにつながりやすいのです。 

2.給与や待遇が不透明な場合がある 

SES業界では還元率や人月単価などの数字が、企業によっては曖昧なケースも珍しくありません。たとえば、「高還元率」とうたいながら実際の手取りが思ったほど高くない、昇給制度や賞与の仕組みがよくわからない、といった問題に直面する可能性があります。

情報の不透明さゆえに、自分がどの程度の価値を生み出しているのかを正しく評価してもらえない、というケースも少なくありません。

3.偽装請負や多重下請け構造の問題 

SES(準委任契約)以外にも「派遣契約」「請負契約」など、さまざまな契約形態が入り混じっています。こうした複雑な構造のなかで、偽装請負や多重下請けといった違法・グレーな状況が生じるリスクも指摘されています。実際、エンジニアに何契約で受注しているか開示しないSES企業もあり、「やめとけ」と言われる原因のひとつです。 

4.配属先の環境に左右される働き方 

SESエンジニアは所属元よりも、実質的にはクライアント先の環境や働き方に強く影響を受けます。長時間残業が常態化しているプロジェクトや低賃金で大量の雑務を任される案件などに当たってしまえば、やりがいやキャリア成長を感じられないまま、疲弊する恐れがあります。 

当然、すべてのSES企業がこのような環境というわけではありません。しかし、一定数のSES企業ではこうしたデメリットが顕在化しているため、「SESはやめとけ」と警鐘を鳴らす声が絶えないのです。 

「高還元SESは闇」と言われる理由 

近年は求人広告やSES企業の採用ページで「還元率80%以上!」など高い還元率をアピールする企業をよく見かけるようになりました。エンジニアとしては「それなら給料が多いのでは?」と期待しがちですが、なかには「高還元SESは闇が深い」とまで言う意見もあります。ここでは、その主な背景を3つの観点から解説します。 

①高還元率=給与が高いとは限らないから 

もっとも誤解が生じやすいのが、「還元率が高い」=「手取りも多い」という図式が必ずしも成り立たない点です。SES企業の“還元率”は「エンジニア報酬÷SES単価」というシンプルな計算式で表されるものの、実際には社会保険料や交通費、福利厚生費などをどの段階で引き算しているかによって大きく変動します。 

たとえば「還元率80%」と言われても、そこから各種経費をエンジニア報酬として天引きする会社であれば、実質的には60〜70%程度に落ちることは珍しくありません。さらに、 

  • SES単価自体が低い 
  • “最高値”だけを載せていて平均値は非公表 
  • 経費の負担範囲が曖昧 

といった要素が組み合わされば、実際の給与は思ったほど高くならない可能性があります。 

こうしたカラクリを知らないまま「高還元率」という言葉に惹かれたエンジニアが、入社後に「やっぱり闇だった…」と失望するケースは多いのです。 

②雑務ばかりのことがあるから 

高還元率を謳う企業のなかには、エンジニアとしての専門性があまり活かされない雑務や、ヘルプデスク、ドキュメント整理といったサポート作業ばかりを担当させるケースも存在します。 

確かにこれらはプロジェクトを進めるうえで重要な作業ではありますが、エンジニア本人が「開発スキルを磨きたい」「先端技術に触れたい」というキャリア志向を持っている場合、そういった業務はミスマッチと感じるはずです。 
高還元率を宣伝する企業が、必ずしもエンジニアにやりがいのある業務を保障しているとは限らない点も、「高還元sesは闇」と言われる理由の一つとなっています。 

③偽装請負をしている会社があるから

偽装請負とは、形式上は「SES(準委任契約)」となっていても、実態としてはクライアントがエンジニアを直接指揮命令し、SES企業は管理責任を果たしていない状態を指します。これは労働者派遣法や職業安定法に反する違法行為です。 
一部のSES企業には、こうした偽装請負の疑いが持たれるケースがあります。クライアント先で完全に指示系統がクライアント企業に委ねられているにもかかわらず、契約形態だけは“SES”を装っているため、 

  • エンジニアの労働環境が不当な状態になっていても改善されない 
  • 社会保険や福利厚生の手続きが曖昧になる 

などのトラブルにつながりやすいのです。 
高還元率であることを大々的にアピールしつつ、実態は違法な契約形態で利益を上げている企業も存在するとすれば、「高還元sesは闇」と言われるのも納得できる話でしょう。 

なお、この事象は一般的なSES企業にも当てはまり、クライアント企業も偽装請負に加担している事が多い為、IT業界の闇とも言えるでしょう。なお、異業種でも類似の事象は発生しています。 

優良なSES企業の見極め方 

ここまで「SESはやめとけ」「高還元SESは闇」と言われる理由を解説してきましたが、すべてのSES企業が前述のような問題を抱えているわけではありません。実際には、SESの仕組みをうまく活用しつつ、エンジニアの成長やキャリアアップをしっかりサポートしている優良な企業も存在します。 


そこで、優良なSES企業を見極めるうえで押さえておきたいポイントをまとめてみました。 

1.契約内容や還元率の内訳を明確に開示している 

SES単価や経費の扱い、還元率の計算方法などをオープンにしている企業は、エンジニアに対して誠実である可能性が高いといえます。さらに、入社前に疑問をぶつけたとき、きちんと回答してくれる企業はより優良なSES企業である可能性が高いと言えます。 

2.業務内容とキャリアパスを具体的に提示している 

「どのような案件が多いのか」「エンジニアがどう成長できるのか」など、業務内容とキャリアアップのビジョンを事例も交え具体的に示せる企業は安心感があります。雑務ばかりの配属にならないよう、事前に担当者へ確認すると良いでしょう。 

3.研修制度やスキルアップ支援が充実している 

勉強会や外部研修、資格取得支援など、エンジニアの成長をサポートする体制が整っている企業は、優良なSES企業の可能性が高いと考えられます。還元率だけではなく、長期的な視点でキャリア形成をサポートしてくれるかどうかも重要な見極め方となります。 

4.長期的な案件・継続的なフォロー体制がある 

一度クライアント先に配属したら放置するのではなく、定期的に面談を行ったり、エンジニアからのフィードバックを吸い上げたりする仕組みがある企業は良心的です。ストレスを抱えにくい環境が提供されているかどうかは重要な視点だと思われるので、積極的にチェックしましょう。 

これらのポイントを踏まえればきちんとエンジニアに寄り添った優良企業かどうかをある程度見極めることが可能です。SES企業と一口に言っても、それぞれ実情は大きく異なりますので、就職・転職活動の際には複数社を比較検討しながら慎重に判断しましょう。 

まとめ 

「SESはやめとけ」と言われる背景には、スキルアップ機会の不足給与・待遇の不透明さ偽装請負のリスクなど、業界構造に起因する複数の問題があります。特に「高還元SES」については、 

  • 実際の手取りと乖離している 
  • エンジニアリングとは無関係な雑務ばかり 
  • 違法に近い契約形態で利益を上げている 

などの懸念があるため、「闇が深い」と感じる声が多いのも事実です。 

もっとも、これらはあくまでも一部のSES企業であり、透明性が高く、エンジニアのキャリア形成をしっかり支援している企業も少なくありません。実際、SESという働き方を通じて多様な案件を経験し、スキルを磨いて大きく成長しているエンジニアも多数存在します。 

こういった優良企業の見分け方について「疑問点や不安点をあいまいにせず、明確な根拠を示してもらえるか」が、一つ大きな分かれ目となります。企業とのコミュニケーションをしっかり重ねながら、自分の希望や将来像に合った環境を見つけてください。 

SESという働き方の特性を理解し、慎重に企業を選べば、幅広い案件を経験しながらキャリアアップを図ることも十分に可能です。ネガティブな意見だけに左右されることなく、正しい情報と冷静な判断をもとに、自分に最適なキャリアを築いていきましょう。 

SES企業 還元率研究所
大手SIerやITスタートアップでエンジニアとして15年勤務し、現在はエンジニア及びIT業界専門のライターとして活動するフリーランスが運営。SESに関心がある・SESの仕事に悩んでいる方向けに、SESの仕事内容や還元率の裏側、転職のコツなどを紹介します。

おすすめ高還元率SES企業TOP3(東京都版)

東京都千代田区に本社を置く、情報システム構築に関わる業務全般に携わるSES企業です。

日本次世代企業普及機構ホワイト企業認定(GOLD) 、TOKYOパパ育児促進企業 ゴールドを取得したIT企業であり、有給消化率は創業以来100%を継続。毎日300件以上の案件相談を受けており、自身の希望にあったプロジェクト参画も可能なのも特徴です。

また、運用保守・テスト案件を禁止しているので、コードを書いて成長したい方には特におすすめです。報酬・労働環境・成長性どれをとってもエンジニアにとって優良なSES企業ですね。本記事で紹介している高還元率SES企業111社の中でも老舗なので安心感もあります。

東京都中央区に本社を置く、ソフトウェア開発、アプリ開発、インフラ構築のSES企業です。

還元率の下限は2024年に80%➝82%にアップ。「個人のライフスタイルに合わせて自由に働ける環境の実現」を掲げ、在宅勤務率は95%です。子育て世代に特化した制度も導入しており、子育て世帯が3割以上を占めます。案件は3万件以上から100%自由に選択可能で、上場企業直の案件も多数。

1位のSazeと比べると還元率は圧倒的に劣りますが、エンジニアファーストの制度は十分に魅力的なため2位としました。

東京都渋谷区に本社を置く、システムエンジニアリングサービス・ITシステム販売代理店事業を展開しているSES企業です。

還元率の下限は82%。「働くエンジニアへの最大限の還元」を掲げ、透明性の高い制度が特徴的です。たとえば、ReBoot Techの給与システムは、売上・スキル・実績を基準に還元率が変動するミッショングレード制度。しかも、案件単価や給与計算方法まで公開されているので自身で年収の計算も可能です。

自身の頑張りを正しく評価してほしいエンジニアにおすすめの会社ですね。

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