「このSES企業、良さそうだけど本当に入って大丈夫かな?」 「面接に行ったら、求人票と全然違う話が出てきた」
転職活動において、エンジニアが最も恐れるのが「ブラックSES企業」への入社です。 世の中には星の数ほどのSES企業が存在しますが、その中には「未経験歓迎」「高収入」という甘い言葉でエンジニアを釣る悪質な企業も残念ながら存在します。
しかし、実はプロの視点で見れば、「求人票(募集要項)」の書き方ひとつで、その企業のブラック度はある程度見抜くことができるのです。
本記事では、年間数多くのSES企業の求人を見てきたキャリア相談のプロが、「求人票のどこを見ればブラック企業を回避できるのか」、その具体的なチェックポイントと、面接で必ず聞くべき「裏取り質問」を徹底解説します。
(SES企業の選び方の基礎については、[【2026年最新】高還元SESは「率」で選ぶな]もあわせてご覧ください。)
はじめに:なぜ「求人票」だけで見抜く必要があるのか

転職活動は、数撃ちゃ当たる戦法では疲弊するだけです。 「応募して、書類選考を通して、面接に行って初めてブラックだと気づく」。これでは貴重な時間と体力が無駄になります。
募集要項(求人票)は、企業が発信する「公式のラブレター」です。 しかし、そこには書きたくない「不都合な真実」も隠されています。 その隠された意図を読み解くスキルがあれば、応募する前にブラック企業をフィルタリングし、本当に受けるべきホワイト企業だけに集中することができます。
チェック①:言語・技術の「割合」が曖昧な企業は危険

「Java、PHP、C#、Ruby…」 募集要項の開発環境欄に、ありとあらゆる言語が羅列されている企業を見たことはありませんか? 「Rubyとは書いていないから、Ruby案件はないんだな」と判断するのは早計です。逆に「Javaと書いてあるからJavaができる」と信じるのも危険です。
「Java案件が多い」の嘘を見抜く方法
多くのブラックSES企業は、エンジニアを集めるために人気言語を並べ立てますが、実際は「Java案件は全体の1割以下」というケースもザラにあります。 PHP経験者が「Javaをやりたい」と思って入社したのに、「Java案件は今ないから、とりあえずPHPで」と塩漬けにされるパターンです。
【対策:面接でのキラー質問】

面接やカジュアル面談で必ずこう聞いてください。 「御社の案件の中で、Java案件とそれ以外の案件の比率は、具体的に何対何ですか?」
また、「インフラ案件と開発案件の比率」も重要です。開発志望なのにインフラ(監視・保守)に回されないよう確認しましょう。
チェック②:「キャリアチェンジ」の実績があるか


ブラックSES企業の最大の特徴は、「エンジニアの成長に投資しない」ことです。 彼らは「今、PHPができる人」を「PHPの現場」に入れて稼ぐことしか考えていません。未経験の技術(例えばJavaやGo)に挑戦させることは、教育コストがかかるため嫌がります。
ブラック企業は「今のスキル」でしか稼がない
「Java経験がないなら、Java案件には入れられないよ」これが多くのSES企業の建前ですが、優良なホワイト企業は違います。 「PHPで3年の実績があるなら、Java案件でもキャッチアップできるはずだ」と判断し、言語チェンジ(キャリアチェンジ)の機会を提供してくれます。
【対策】
「過去に、PHPからJavaへ、あるいはオンプレミスからクラウドへキャリアチェンジした社員の実例はありますか?」 と聞いてみましょう。具体的なエピソードが出てこない企業は、あなたのキャリアを固定化させるリスクが高いです。
チェック③:上流工程(基本設計・要件定義)へのパスはあるか
「詳細設計以降の経験しかない人は、基本設計なんて無理」 そう決めつける企業も要注意です。
もちろん、いきなり未経験で上流工程を任せるのは難しいですが、優良企業であれば「セット売り(チーム参画)」を活用します。 自社のベテラン社員が上流をやっている現場に、若手をセットで入れてOJTで引き上げる。これができるのが、エンジニアを大切にする会社です。
【対策】
「詳細設計の経験しかない場合、具体的にどのようなステップで基本設計に携われますか?」 この質問に対し、「現場次第」「お客さん次第」と答える企業は、育成の仕組みを持っていません。 「資格(AWSなど)を取れば設計案件を確約する」といった明確な基準がある企業を選びましょう。
チェック④:PM/PL経験の定義が曖昧ではないか
求人票に「PM/PL候補」と書いてあっても、その中身はピンキリです。
予算管理なきリーダーは「名ばかり管理職」SES業界でよくあるのが、単に勤怠管理や連絡係をするだけの「リーダー」です。 しかし、本当のPM(プロジェクトマネージャー)経験とは、「予算(カネ)」と「納期(スケジュール)」の責任を持つことです。
1億円規模のプロジェクトであれば、単価80万円のエンジニア10名を1年間動かす計算になります。この規模の予算管理経験が積めるのか、それとも単なる「班長」なのか。
【対策】
「御社のPM/PL業務には、予算管理や顧客との折衝業務は含まれますか?」 と確認し、名ばかり管理職になるのを防ぎましょう。
チェック⑤:設立年数と資本関係の「違和感」
2026年現在増えているのが、「異業種からのSES参入」です。 人材派遣やコールセンター事業をやっていた会社が、「ITなら儲かりそうだ」という安易な動機でSES部門を立ち上げるケースです。
異業種からの参入SESが危険な理由
経営陣にITの知見がないため、「エンジニアのキャリア形成」という概念がありません。 また、元々の事業(コールセンターなど)との付き合いしかないため、持っている案件が「ヘルプデスク」や「キッティング」などの下流工程に偏りがちです。
【対策】
設立から10年以上続いているか、あるいは経営陣がエンジニア出身かを確認しましょう。歴史の浅い異業種系SESは、商流も深く(3次請け以降)、案件の質が低い傾向にあります。
チェック⑥:給与・賞与のカラクリ(見なし残業・待機カット)


「年収レンジ400万〜800万」 この数字だけを見て安心してはいけません。重要なのは「下限」と「内訳」です。
「賞与なし=悪」ではないが、「待機カット」は即退場
コードを書く手を少し休め、「プロジェクトを動かす側」に回る道です。
賞与がない企業(年俸制)は、その分月給が高いので一概に悪いとは言えません。
しかし、「待機期間中の給与カット」がある企業は論外です。案件が決まらない(待機)のは会社の営業力不足であり、エンジニアの責任ではありません。
待機中に給与が6割になる、あるいは手当が全額カットされるような規定がないか、必ず確認してください。
「固定残業代(みなし残業)」の罠
「固定残業45時間込み」の場合、基本給が低く設定されている可能性があります。
残業代込みでようやく相場並みの給料になるのか、それとも基本給が高くてさらに残業代が出るのか。
「想定残業時間を除いた基本給はいくらですか?」と聞く勇気を持ちましょう。
チェック⑦:商流の深さと「プライム案件」の嘘
「プライム案件(直請け)多数!」 この言葉ほど信用できないものはありません。
「プライム比率○割」を信じてはいけない理由
企業によっては、SIerの下請け(2 次請け)であっても、SIerを「顧客」と見なして「直請け」と呼ぶ独自の定義を持っている場合があります。 本当にエンジニアにとって重要なのは、「エンドユーザー(事業会社や官公庁)」と直接関われるか、あるいは「1次請け(大手SIer)」の直下かです。
(商流が深い環境に居続けるリスクについては、[【2026年】商流が深いと「30代で詰む」は本当か?多重下請けの年齢限界と脱出ルート]でも詳しく警鐘を鳴らしています。)
【対策】
「御社の言うプライム案件とは、エンドユーザー直のことですか?それともSIer直のことですか?」 「商流の割合(エンド直:2次請け:3次請け以降)を具体的に教えてください」
優良企業であれば、この質問に嫌な顔をせず、具体的な数字で答えてくれます。逆に、ここを濁す企業は3次請け以下の深い商流がメインである可能性が高いです。
まとめ:求人票は「疑う」ことから始めよう
ブラックSES企業を見抜く最大のコツは、「求人票の曖昧な表現を許さないこと」です。
「案件多数」→ 具体的にJavaは何割?
「キャリアアップ」→ 具体的な事例は?
「プライム案件」→ 本当のエンド直は何割?
これらを面接やカジュアル面談で確認し、具体的な数字やエピソードが返ってこない企業は避けるのが賢明です。 **逆に、これらに誠実に答えてくれる企業こそが、あなたのキャリアを預けるに値する「ホワイトSES企業」と言えるでしょう。
厚生労働省の[「確かめよう労働条件」]などの公的サイトも参考になります。
自分一人で見極める自信がない方は、まず[【2026年最新】高還元SESは「率」で選ぶな。年収が確実に上がる企業の条件]を読んで、「本物の優良企業」の基準を学んでください。
それでも判断に迷う場合や、具体的な企業の紹介を希望される方は、SES企業還元研究所にご相談ください。















