「SaaS全滅時代」――。 今、世界のテック業界で、ある恐ろしい言葉が囁かれています。
この半年間、テック株の雲行きが怪しいことは多くの投資家が感じていましたが、ついに決定的な崩壊が訪れました。月曜日のたった1日で約45兆円、2日間で86兆円、そしてiSharesのソフトウェアETF(インデックス)では、わずか7日間で約160兆円もの時価総額が吹き飛びました。
日米の国境を超え、Salesforce、Adobe、ServiceNowといった優良企業までもが軒並み暴落する異常事態。これを市場関係者は「サース・アポカリプス(SaaSの黙示録)」と呼んでいます。
なぜ、これまで「無敵」と思われていたSaaSビジネスが崩れ去ろうとしているのか? その震源地となったAIの進化とビジネスモデルの欠陥、そして「この激動の中で、日本のSES業界はどうなるのか?」について徹底解説します。
震源地は「Anthropic」の静かなる革命
今回の暴落の直接的な引き金(トリガー)となったのは、生成AI企業「Anthropic(アンソロピック)」の動きです。
同社は年末年始にエンジニア向けの「Claude Code」を発表し、さらに非エンジニア向けの「Claude Co-worker」を展開。そして先週金曜日、GitHub上でひっそりと「Claude Co-worker」用のプラグインを発表しました。
一見地味なこのリリースが、市場に衝撃を与えました。なぜなら、このプラグインを使えば、人事、経理、営業、マーケティング、法務、プロジェクト管理といった「これまで人間がSaaSを使って行っていた業務」を、AIが社内ツールに接続し、自律的に完結できてしまうことが判明したからです。
トムソン・ロイターの悲劇
象徴的なのが、法務(リーガル)領域です。例えば、企業間の契約業務において、Claudeに「契約書を作って」と指示するだけで、AIが以下のタスクを一瞬でこなします。
- 社内の法務ルールやデータベースを参照
- 契約書のリスク箇所を色分けして警告
- 修正案を作成し、レポート化
これまで高額なデータベース利用料で利益の半分を稼いでいたトムソン・ロイターのような企業は、この技術によって「不要になるのではないか」と市場に見透かされ、株価が約20%も急落しました。
「昨日はエンジニアリング、今日は法務、明日は営業とマーケティング」。あらゆる産業のタスクがAIに代替される未来が可視化されたことで、SaaS株の投げ売りが始まったのです。
「サブスク課金モデル(Seat Model)」の終焉

しかし、単に「AIが便利になったから」という理由だけでSaaSが全滅するわけではありません。より深刻な問題は、SaaS企業の収益の柱であった「ID課金モデル(User-ID Model)」の崩壊です。
これまでのSaaSビジネスの「必勝パターン」は以下のようなものでした。
- 積み上げ式: 従業員が増えれば契約ID数が増える(50人なら50ID)。
- 限界費用ゼロ: IDを追加するコストはほぼゼロで、利益率は高い。
- 予測可能性: 解約されない限り収益が積み上がるため、投資家にとって見通しが良い(ビジビリティ・プレミアム)。
自律型AIエージェントの登場は、この前提を根底から覆します。
もし、1つのAIが5人分の仕事をこなせるなら、企業は人を雇う必要がなくなります。従業員が減れば、当然SaaSの契約ID数も激減します。 「50人分のID課金」で儲けていたSaaS企業にとって、AIの普及は「ID数の圧縮」を意味します。これまでの「右肩上がりの成長曲線」が幻となり、「使った分だけ課金する(従量課金)」モデルへの移行を余儀なくされる――これが、SaaS企業にとっての「地獄の蓋」が開いた瞬間です。
これまでIllustratorやSalesforceのように、少ししか使わないユーザーからも満額のID料金を徴収していた「食べ放題バイキング」のようなモデルに対する、顧客の不満が一気に爆発したとも言えます。
勝ち組だったマイクロソフトの転落

今回の「アポカリプス」で衝撃的だったのは、AI時代の覇者と思われていたマイクロソフトまでもが巻き込まれたことです。
オープンAIの筆頭株主として「AIの守護神」のポジションを確立していた同社ですが、足元では深刻な問題を抱えています。
- Copilotの利用率低下: 「すべてのアプリにCopilotを」と謳い、Office 365にAIを搭載しましたが、実際の利用率は半年で18.8%から11.5%へ減少しました。「ID数は多いが、誰も使っていない」という実態が露呈しています。
- Google Geminiの猛追: 一方で、競合のGoogle Geminiのシェアは上昇傾向にあります。
- クラウド(Azure)の不安: オープンAIへの依存度が高いAzureですが、オープンAI自体の優位性が揺らぐ中、クラウドの成長に対する懸念が高まっています。
かつてSaaS企業を駆逐する側に見えたマイクロソフトもまた、「ID課金」の呪縛と、AIの実用性という壁に直面し、株価を落としています。
サース・アポカリプスで「SES業界」はどうなるのか?
さて、既製品のSaaSが使われなくなり、企業が自社専用のAIエージェントを利用する時代。日本の「SES(システムエンジニアリングサービス)業界」にはどのような影響があるのでしょうか?
結論から言えば、「二極化が極限まで進み、高度なSESエンジニアの需要は爆発する」ことになります。
❌ 消えるSESエンジニア(単純作業層)
SaaSの導入支援だけで食べていたコンサルタントや、SaaSのUIテスト、マニュアル作成、データ入力などを担当していた「ロースキル層」の仕事は、AIエージェントに完全に置き換わります。頭数だけを揃える「人売りSES」は真っ先に淘汰されるでしょう。
⭕️ 求められるSESエンジニア(AI・インフラ層)
企業が既存のSaaSを捨てて「社内データと連携した独自のAIエージェント(Claude等)」を動かすためには、強固なインフラ環境とセキュリティ、そしてAPI連携の仕組みが必要です。 つまり、クラウドインフラ(AWS/Azure)の構築、RAG(検索拡張生成)の設計、プロンプトエンジニアリングができる人材は、自社開発・SESを問わず、引く手あまたの高単価人材となります。企業は「AIを社内に実装してくれる即戦力のプロ」を外部(SES)から調達せざるを得ないからです。
【FAQ】AI時代のSaaSとSESに関するよくある質問
SaaSが全滅したら、IT業界の仕事自体がなくなるのでは?
- 「高還元SES やめとけ」と言われるのはなぜですか?
-
なくなりません。形を変えるだけです。
パッケージ化されたSaaSを買うのではなく、企業が「AIモデル(LLM)のAPI」を叩いて自社専用のツールを構築する時代になります。そのためのインフラ構築やアーキテクチャ設計の仕事はむしろ増加します。
- SESエンジニアは、今どのようなスキルを身につけるべきですか?
-
クラウドネイティブ技術とLLMの基礎知識です。
特定のSaaSの設定に詳しいことよりも、AWSなどのクラウドインフラ知識や、Pythonを用いたAPI連携、RAGの概念などを理解しておくことが、今後の市場価値を決定づけます。
- AIツールが現場に導入されると、SESの単価は下がりますか?
-
AIを使いこなせる人材であれば「上がります」。
AIを使って3人分の仕事(コーディングやデバッグ)を1人でこなせるエンジニアになれば、クライアントは喜んで高単価を支払います。ただし、還元率の低いブラックSES企業にいると、単価が上がっても給料に反映されないため注意が必要です。
結論:パイの拡大から「奪い合い」へ
過去10年間、SaaS業界の物語は「パイ(市場)を広げること」でした。DXの波に乗り、みんなで成長することができました。 しかし、AIがソフトウェアを自動生成し、業務を代行する時代において、その神話は崩れました。これからは、限られたパイを奪い合う、血で血を洗う時代に突入します。
「利益なき成長」が許された時代は終わり、投資家や企業は「今、そこにある価値」をシビアに見つめ始めています。
激動の時代において、エンジニアが生き残るための唯一の方法は、「自らの市場価値を正しく把握し、AI時代に適応したスキルを適正に評価(還元)してくれる環境に身を置くこと」です。
「AIの進化で今後のキャリアが不安だ」 「今の自分のスキルで、どれくらいの単価が狙えるのか知りたい」
そうお考えの方は、ぜひ一度、SES企業還元研究所(トップページ)の情報を参考に、ご自身の立ち位置を確認してみてください。 (※おすすめ記事:SESの単価と還元率のカラクリを徹底解説!)
また、AI時代に淘汰されない「単価公開・高還元・案件選択」を実現しているホワイト企業への転職・キャリア相談をご希望の方は、ぜひ還元率が評価されてる企業様へお気軽にお申し込みください。プロの視点から、あなたの「生存戦略」をサポートします。






